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ニュース&イベント: 雇用/労働法/福利厚生関連情報

AIと弁護士・依頼者間秘匿特権:雇用主が知っておくべきこと

6.30.26

最近の裁判例であるUnited States v. Heppner事件では、弁護士の指示なく、一般消費者向け生成AIツールを使用して依頼人が作成した資料について、弁護士・依頼者間秘匿特権およびワークプロダクト法理の適用の有無が判断されました。

同事件の概要は、刑事被告人が、弁護戦略や想定される主張を整理した文書を作成するため、弁護人との私的かつ機密性の高いやりとりを含む情報を生成AIプラットフォームである「Claude」に入力し、AIが生成した当該文書を弁護人へ共有したというものです。

裁判所は、Claudeに読み込まれた入力データおよびその出力結果は、依頼者と弁護士との間のやりとりではないため、AIツールが作成した文書は弁護士・依頼者間秘匿特権にもワークプロダクト法理にも保護されないとの判断を下しました。また、Claudeのプライバシーポリシーには、ユーザーのデータやプロンプトがモデルの学習に使用され、第三者に開示される可能性があることが明記されていたため、被告人は情報の機密性を保持していなかったことも認定されています。

すなわち、裁判所は、被告人が弁護人との協議内容を第三者(すなわちAIプラットフォーム)に任意に開示したことにより、既存の秘匿特権を放棄したものと判断し、弁護士・依頼者間秘匿特権による保護を否定しました。また、裁判所は、当該文書が弁護士の指示に基づいて作成されたものではなく、弁護士の法的戦略や検討過程を示すものでもなかったとして、ワークプロダクト法理の適用も否定しました。

この事件の判断を踏まえると、現在のAI時代において、雇用主が弁護士・依頼者間秘匿特権を保持し、ワークプロダクトとしての保護を受けるための最善の策として、企業は厳格なAI利用ポリシーを策定し、これを社内で徹底することを強くお勧めします。例えば、雇用主は、社内の従業員に対して、自社の法務部門およびIT部門によって正式な審査を経たAIプラットフォームの利用のみを許可するといった対応を採るべきです。また、企業向けAIサービスについては、通常、ユーザーの入力したデータやプロンプトをモデルの学習に使用しないこととする不使用(opt-out)条項や、より厳格に情報を遮断する仕様を有していることが多く、企業向けAIサービスの利用は望ましい選択肢の一つとなる可能性があります。

ただし、現在、イリノイ州を含む一定の州は雇用主によるAIの利用を規制しているため、企業におけるAIの利用については、その利用を開始する前に常に弁護士へ相談することが極めて重要となります。

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