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ニュース&イベント: コーポレート/ファイナンス/M&A関連情報

M&A取引におけるアーンアウトの実務対応

3.19.26

経済の先行きが不透明な局面(規制環境の変化やサプライチェーンの混乱を含む)において、評価額のギャップを埋め、リスクを配分するために、非公開M&A取引ではアーンアウトがますます活用されるようになってきています。アーンアウトの設計は取引ごとに大きく異なりますが、取引によっては、潜在的なアーンアウト支払額が、総買収価格の50%以上に達する場合もあります。

アーンアウトは通常、クロージング後の業績マイルストーンに基づいて、買収対価の一部の支払いを繰り延べる仕組みであり、多くの場合、売上高または収益性に連動させます。これらの支払額は、買収価格総額に占めるアーンアウト支払の割合、業績指標の種類、アーンアウト期間の長さと構造、適用される会計基準、支払の前倒しが発生しうる要因などによって大きく変動します。

こうした条項は買手と売手の双方にとって有益となり得る一方で、取引ごとに大きく異なり、激しい交渉の対象となります。また、頻繁にクロージング後のM&A紛争の原因となり続けています。こうした紛争は、財務指標、業績測定に用いる会計原則、アーンアウト期間中に買手が保持する事業運営の裁量の範囲などに関する曖昧な条文や期待の不一致をめぐって生じることが最も多くなっています。 売手は、アーンアウトの支払額が最大化されるように事業が運営されることを期待する一方で、買手は通常、対象会社を既存事業と統合し、戦略上またはコスト上の理由による変更を行うための柔軟性を求めます。明確な契約上の基準がない場合、売手は、買手が収益を流用した、経費を転嫁した、その他アーンアウト実績を抑制するような方法で事業を運営することで、誠実かつ公正に契約を履行する義務に反して行動したと主張する可能性があります。

同時に、報告、情報へのアクセス、検証の機会が不十分だと、売手はアーンアウトの算定内容を把握できず、異議申し立てや不信感につながり得ます。さらに、会計方針の変更、グループ内取引、組織再編、例外的な事象などといった問題が手当されていないままだと、紛争リスクはより高まります。

裁判所はまず取引関連契約書上の文言を重視しますが、文言が不明確な場合は当事者意思を示す外在的証拠も考慮します。このため、一貫性のある契約文書の作成と交渉が極めて重要となります。クロージング後の紛争リスクを低減するには、財務指標や会計基準の明確な定義、買手側の運営上の裁量の範囲や努力義務を規定する条項、詳細な報告・アクセス・検証手順の整備など、実務的な契約ドラフトによる安全策を講じるべきです。また、紛争時に両者が合意した専門家が争点を判断することなど、範囲と拘束力を明確に規定した紛争解決メカニズムを適切に設計すれば、紛争に伴うコストと不確実性をさらに減らすことができます。

以上のとおり、買手と売手の双方は、アーンアウトに細心の注意を払って取り組むべきです。アーンアウトの構造、算定方法、紛争解決手続に関するクロージング後の紛争や不確実性を減らすうえで最も効果的な方法は、当初から慎重な契約ドラフティングを行うことです。

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