連邦取引委員会(以下「FTC」といいます)がハート・スコット・ロディノ法(以下「HSR」といいます)に基づく届出要件を改正したことにより、企業にとっての法的リスクが大幅に高まりました。新たな規則では、取引に関する交渉内容、財務予測、関連当事者間の取引に関する情報など、より詳細な開示義務を定めています。軽微な文書の提出が漏れていたり、財務予測について誤った記載があった場合などのように、不注意による開示漏れがあった場合でさえ、当該開示義務違反とみなされ、その結果、当会社は民事責任の追及、規制当局による調査、クロージングの遅延といったリスクに晒される可能性があります。
さらに、HSRに基づく届出に要する費用と時間的負担も著しく増加しています。FTCの推計によれば、HSRに基づく届出準備に必要な平均時間は37時間から105時間に延び、特に複雑な届出であれば最大121時間を要することもあると報告しています。このように届出準備に要する時間が増えるということは、法務およびコンプライアンスにかかる費用も嵩むことになります。また、FTCは届出手数料についても改正しており、取引額に応じて、3万ドルから239万ドルの範囲で届出手数料が課されます。これらの改正により、企業にとってはHSRに基づく届出規制を遵守するためにさらなる資金と時間を確保する必要が生じ、結果として取引全体のスケジュールや予算に影響を及ぼす可能性があります。
企業買収の際に、当該案件においてHSRに基づく企業結合届出が必要であるかを判断するために、案件を企画・検討する初期の段階から法務部門および弁護士に相談することをお勧めします。
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