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ニュース&イベント: 知的財産関連情報

米国最高裁、利用者の著作権侵害に対する ISPの寄与責任には「意図」が必要と判示

6.30.26
関連業務分野 知的財産テクノロジー

楽曲の著作権侵害(いわゆる海賊版)をめぐる重要な訴訟であるCox Communications, Inc. v. Sony Music Entertainment事件において、2026年3月、米国連邦最高裁は満場一致でCox Communications, Inc.(“Cox”)の主張を認め、Sony Music Entertainment(“Sony”)その他大手音楽レコード会社の主張を退けました。本件では、インターネットサービスプロバイダー(“ISP”)が、利用者が著作権侵害を行っていることを知りながら、それにもかかわらず当該利用者へのインターネットアクセスの提供を継続した場合、その利用者による著作権侵害についてISPに対して寄与責任(二次的責任)を追及することができるか否かが争点となりました。

本訴訟はSonyその他大手音楽レーベル会社が提起したものであり、Sonyらは、特定の利用者が著作権により保護されている楽曲をP2Pネットワークを通じて配信することで当該著作権を侵害している旨の侵害通知(infringement notice)を数千件以上送付していたにもかかわらず、Coxはそれを無視したと主張していました。連邦地裁の陪審は、当初、Coxの責任を認め、音楽レコード会社に対して10億ドルの法定損害賠償を支払う旨の判決を下しました。これは米国の歴史上、最高クラスの損害賠償を認めた著作権侵害判決となりました。その後、連邦地裁判決の一部は控訴裁判所によって覆されたものの、著作権侵害の寄与責任に関する争点は控訴裁判所においても支持されたため、当該争点について最高裁で審理されることとなりました。

最高裁の判決意見を書いたクラレンス・トーマス裁判官(Justice Clarence Thomas)は、特定の利用者が著作権侵害を行うためにISPが提供するサービスを悪用していることをISPが認識していたとしても、単に、一般に提供しているサービスを利用させているだけでは、著作権侵害に対する寄与責任が成立するには不十分であると判示しました。最高裁は、寄与責任が成立するためには、ISPが積極的に著作権侵害を誘発したり、著作権侵害を目的としたサービスを特別に設計したりするなど、ISPに著作権侵害を助長する意図があったことを立証することが必要であると結論づけました。本件において、Coxは単に特定の利用者へのインターネットアクセスを提供していただけであり、利用者による著作権侵害を助長していなかったため、利用者の著作権侵害について寄与責任を追及することはできないと判示しました。

この判決は、利用者による著作権侵害に対して、ISPその他技術プロバイダーの寄与責任が成立する場面を大幅に限定するものであるといえます。本判決を評価する立場からは、この判決が利用者のインターネットへのアクセスを保護し、ISPが、いわば「著作権警察」と化すことを防ぐものであるとして支持されていますが、本判決に対して批判的な立場からは、この判決により著作権者が大規模なオンライン上の著作権侵害に対して対抗することがより困難になると批判されています。このように、著作権侵害にオンラインプラットフォームのような媒介サービスが関与する訴訟については、本判決が今後影響を及ぼすことが予想されます。

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