トランプ大統領による2025年4月23日付の大統領令「機会の平等と実力主義の回復」を受け、雇用機会均等委員会(EEOC)は調査官に対し、2025年9月23日までに、係属中の「差別的な影響」に基づく申し立てを全て終結させるよう内部指令を発出しました。
雇用差別に関する申し立ては、通常「差別的な取扱い(disparate treatment)」又は「差別的な影響(disparate impact)」の2種類に分類されます。「差別的な取扱い」とは、人種・性別・年齢などの保護特性に基づく個人への直接的な不平等・不公正な取り扱いを指します。「差別的な影響」とは、表面的には中立的であるものの、保護対象グループに差別的な影響を与え、不平等な結果を招く雇用方針・慣行を指します。
EEOCは「差別的な影響」のみを主張する申し立てに対する調査を全て中止する方針です。これにより、EEOCが「差別的な影響」の申し立てを調査してきた50年の歴史に終止符が打たれます。差別的な影響を主張する申し立てが係属中の個人には、2025年10月31日までに「訴訟提起権通知書(Notice of Right to Sue)」が送付されています。これにより、希望する場合は90日以内に訴訟を提起することができます。差別的な影響以外の主張をも含む申し立てに関しては、EEOCの調査プロセスは継続される場合がありますが、調査対象は他の主張のみとなります。
重要な点として、EEOCに相当する州の機関が差別的な影響の申し立てを調査することは妨げられないという点に留意する必要があります。また、州によっては、そのような州の機関が、差別的な影響の違反について、依然として雇用主に対し州レベルでの責任を課す可能性があります。そのため、雇用主は職場における潜在的な「差別的な影響」の慣行について引き続き注意を払い、是正する必要があります。
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