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ニュース&イベント: 商事/競争/取引関連情報

輸入業者が予測すべき関税率の変動

9.29.25
関連業務分野 商事/競争/取引

米国の輸入業者は現在、外国産商品に対する新たな「相互(reciprocal)」関税率への調整を進めています。たとえば、多くの英国原産品については10%、EU原産品については15%、日本原産品については15%といった新たな相互関税率が課されています。しかし、これらの関税率はすでに見直しが進められています。

第一に、二国間での合意の中には関税率を調整することを明記しているものがあります。たとえば、英国製医薬品に対する輸入関税については関税率が10%未満とされることが予定されています。第ニに、台湾を含む外国政府は、関税を引き下げるために交渉を続けていることを認めています。

2025年8月9日、米国政府は、日本製品に対する関税をさらに引き下げる可能性があることを認めました。現在、日本製品に対しては、既存の輸入関税に加えて、さらに15%が上乗せされています(「追加関税(additional duty)」)。しかしながら、米国政府は、近い将来、日本製品が、EU原産品と同様に、関税の積上げ禁止措置(anti-stacking protection)の対象となることを認めています(「ベースライン関税率(baseline duty rate)」)。

このベースライン関税の下では、通常の最恵国関税率(most-favored nation duty rate)が15%以下である場合、課される関税の総額は15%となりますが、最恵国関税率が15%を超える場合、輸入品には当該最恵国関税率のみが課せられることとなります。

日本に対する15%の「追加関税」が15%の「ベースライン関税」に転換されれば、日本原産品を取り扱う輸入業者にとっては安心材料となるかもしれません。

関税率は今後も引き続き変動することが見込まれます。米国政府は、他国の政府がその国のサプライチェーンにおいて中国原産品を特定し、その追跡が可能であることを証明できる場合には、関税率が引き下げられる可能性があると繰り返し示唆してきました。この方針は今夏カナダにおいても取り上げられており、同国では、鉄鋼に対する一部の輸入関税が、その構成する金属が中国産であるか否かによって決定されることになっています。いずれにせよ、中国以外の国から商品を購入する輸入業者は、さらなる関税率の調整が期待できます。

当面の間、輸入業者および通関業者においては、月次または週次で公表される関税率の告知を逐一確認することをお勧めします。

増田・舟井法律事務所は、米国でビジネスを展開する日本企業の代理を主な業務とする総合法律事務所です。
当事務所は、シカゴデトロイトロサンゼルス、およびシャンバーグに拠点を有しています。

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