Skip to Main Content
ニュース&イベント: クライアント・アドバイザリー

AIが市場に参入: AIの導入にあたって法的に考慮すべき点

6.30.25
関連業務分野 商事/競争/取引

文字や画像などのデータをユーザーが入力することによって出力データを生み出す生成AI(以下「AI」といいます)がしばしば注目を集めていますが、AIは世界中のビジネス・シーンで広く利用されており、販売・マーケティング、調達、在庫管理、物流、顧客サービスなど、幅広い業務において活用されています。

世界各国の規制機関は、AIの能力の向上と普及が急速に進んでいることに留意し、AIの利用が責任を伴い、かつ倫理的基準に適ったものであることを保証するためのフレームワークと法規制を導入しています。

現行のAI規制法は、違反に対して厳重な罰則を定めており、欧州(EU)AI規制法では、最も深刻な違反に対して、最大3,500万ユーロ、または世界市場における事業者の総売上高の7%に相当する罰金が科される可能性があります。そのような多大な財務的損失が生じる可能性を考慮すると、適用され得るAI規制法の遵守が不可欠であるといえます。また、AIの開発および学習には、多くの場合、一時的に多額の投資が必要となるため、AI機能について、業務委託(outsource)をしたり、第三者が開発したAIモデルやシステムを導入する事業者も増えています。そのような選択をする場合、適切なデュー・デリジェンスを実施し、生じ得るリスクを考慮した上で慎重に契約書を作成しなければ、さらなる法的リスクが生じることになります。

事業者が、業務委託または第三者が開発したAIシステム/モデルを導入することで対処を求めるユースケース(use case)を特定した後は、ベンダーとの契約、ならびにその条項、およびAIモデル自体を適切に吟味・分析・評価し、その技術的能力、安全性(security)、堅牢性(robustness)、法令遵守、およびその他の潜在的なリスクや責任を評価することが非常に重要となります。

最終的には、計画されたユースケースに基づき最も重要な契約条件が決定されることになります。ただし、AIモデルやシステムの出入力に関する権利・義務、計画されたユースケースの法令遵守を徹底するための追加的契約条項の必要性、知的財産権の帰属や侵害に関する条項、および補償義務なども重要な考慮事項として含まれます。

責任あるAIの導入を支援するために、AIの導入に関する実践コミュニティ(Community of Practice on the Procurement of AI)は、専門家による相互レビューを経た上で、EUモデル契約条項を発行し、継続的に更新しています。これらの条項は、欧州(EU)AI規制法の遵守を支援するものであり、同様の分類システムや規制上の懸念が生じている米国においても参考となる可能性があります。

増田・舟井法律事務所は、米国でビジネスを展開する日本企業の代理を主な業務とする総合法律事務所です。
当事務所は、シカゴデトロイトロサンゼルス、およびシャンバーグに拠点を有しています。

© 2025 Masuda, Funai, Eifert & Mitchell, Ltd. All rights reserved. 本書は、特定の事実や状況に関する法務アドバイスまたは法的見解に代わるものではありません。本書に含まれる内容は、情報の提供を目的としたものです。かかる情報を利用なさる場合は、弁護士にご相談の上、アドバイスに従ってください。本書は、広告物とみなされることもあります。