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ニュース&イベント: クライアント・アドバイザリー

登録文書が誤りを含んでいることに気づいたら(イリノイ州クック郡の場合)

9.28.23
関連業務分野 不動産

あなたが、自分の家を売却するために不動産売買契約を締結したとします。すべての修理を済ませ、壁のペンキも塗りなおし、荷造りも始めました。あるいは、あなたの会社が不動産資産を売却しようとしているとします。買主との売買契約が締結され、買主は、物件の改装を始める準備も済み、クロージングを計画しています。

あっ、まずい!あなたは、不動産の権原に関する情報に誤りがあることに気がつきます。不動産譲渡証書(deed)に記載された名前のスペルに誤りがある、不動産の説明情報(legal description)が誤っている(たった1語だけ欠けているような場合も該当します)、または第三者の抵当権があなたの不動産に誤って登録されている場合などです。こうした記載の誤りは、不動産売買取引のクロージング前に早急に訂正しなければなりません。イリノイ州クック郡でそのような訂正をしなければならない場合は、どうすればよいでしょうか?

以前「再登録」(Re-recording)と呼ばれていた手続きを今は「訂正登録」(Corrective recording)と呼びます。登録された文書に含まれる誤りを訂正する手段としては次の4つの選択肢があります。

(i)         訂正文書(Corrective document)を作成する。

(ii)        クック郡書記官の宣誓供述書(Scrivener’s Affidavit)を作成する。

(iii)       訂正登録宣誓供述書(Corrective Recording Affidavit)を作成する。

(iv)       裁判所命令を取得する。

すでに登録された文書の内容を訂正するには、裁判所命令を取得するのが最も効果的な方法ですが、それには時間と費用がかかる可能性があります。裁判所命令は通常、差押え、検認手続きなど、既に裁判所に事件が係属している場合、または権原に関する紛争がある場合に用いられます。そのような訂正を登録するためには、裁判所命令の原本または認証謄本(certified copy)が必要であり、同書には、不動産の識別番号(PIN: Property Identification Number)、当該不動産の説明情報、以前登録された文書の番号およびその登録日が含まれなければなりません。

登録文書を訂正するためのもう1つの手段は、訂正文書(Corrective document)を作成することです。訂正文書のタイトルとして、冒頭に「訂正(Corrective)」という文言を記載しなければなりません。さらに訂正文書は、元の文書の要件をすべて満たす必要があります。たとえば、訂正文書には、元の文書に署名していた全当事者の署名を付し、それを譲渡人および譲受人の身元宣誓書(Statement by Grantor and Grantee)、自治体による不動産譲渡税の免除印(該当する場合)および不動産譲渡税申告書とともに提出しなければなりません。

抵当権に関する情報を訂正する場合は、イリノイ州略奪的貸付防止法に基づく証明書(Illinois Anti-Predatory Lending Certificate)を取得する必要があります。また、シカゴ所在の不動産の譲渡証書を訂正する場合には、水道料金支払済み証書(Water Certificate)を取得しなければなりません。

訂正登録宣誓供述書(Corrective Recording Affidavit)を提出することもできますが、その際は、元の文書に署名していた全当事者の署名が必要です。元の文書に署名していた当事者の中で死亡した者がいる場合は、かかる当事者の死亡証明書を添付しなければなりません。訂正登録宣誓供述書を提出する際には、元の文書またはその認証謄本は不要ですが、代わりに、誤記およびその訂正について説明し、かかる訂正に関する通知と合意書を含めなければなりません。元の文書に署名していた譲渡人/譲受人および訂正登録宣誓供述書を作成した宣誓供述人が、同供述書に署名する必要があります。代理人(agent、proxy、attorney-in-fact等)、クロージングを担当する弁護士、または権原会社は、訂正登録宣誓供述書に署名するための特別な委任状を有しない限り、同書に署名することはできません。

クック郡書記官の宣誓供述書(Scrivener’s Affidavit)は、クック郡書記官が登録文書にある誤りを訂正する必要があることを、単に証明するために作成するものです。同書記官の宣誓供述書には、訂正を要する文書の原本または認証謄本を含めることはできませんが、別紙(たとえば、不動産の説明情報)を添付して、そこで必要な訂正事項を特定することができます。書記官の宣誓供述書は、独立した文書であるため、以前に登録された文書の番号および登録日ならびに不動産の識別番号(PIN: Property Identification Number)および説明情報も加える必要があります。

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