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米国税関での予期せぬ入国拒否 - ビザ免除プログラム(VWP)およびESTAのもとでの渡米時に生じ得るサプライズ入国拒否

6.27.23
関連業務分野 移民法

米国への渡航者数が再び増加傾向にありますが、それに伴い当事務所では、ESTA(電子渡航認証システム)を利用したVWP(ビザ免除プログラム)のもとでの入国を米国の税関で拒否され、帰国することになったという報告を頻繁に受けるようになりました。これらの渡航者が入国を拒否された理由としては、渡航目的がVWP下で認可されたビジネス活動や観光内容を超えた活動だったことや、米国税関・国境取締局(CBP)審査官に正確な渡航目的を伝えなかったことなど主にあげられます。

VWPのもとでは、世界40ヵ国の国民がビザを取得することなく、ビジネス活動または観光を目的として米国へ渡航し、最長90日間滞在することが許可されています。ESTAとは、VWPと混同されがちですが、VWPを利用して渡米する旅行者の適格性を審査する自動システムであり、ESTA申請が承認されたことによって、米国への入国が保証されるものではありません。入国時にCBP審査官の審査により、様々な理由で渡航者の入国が拒否されるケースも多々あります。

VWPのもと渡航者に許された活動は、特定の「ビジネス活動」や観光を目的とするものに限られています。例外を除き、この「ビジネス活動」は主に(専門家等との)相談、会議、カンファレンスもしくはコンベンションへの出席、または商談に限定され、専門的な「職務」またはその熟練度に関わらず「労働活動」は、当該「ビジネス活動」とはみなされません。たとえ、米国の事業体から給与を受け取っていない場合でも、当該「職務」または「労働活動」はVWPのもと認可された「ビジネス活動」には該当しません。加えて、外国会社の従業員が同社を代表して米国を訪問する場合にも、同従業員は適切な就労ビザがない限り、「ビジネス活動」ではない「職務」や「労働活動」に従事することは許されていません。一般的に、多くの渡航者や雇用主は、VWPで認可された「ビジネス活動」とそうではない活動の違いを十分に認識できておらず、その結果、入国時にCBP審査官とのやりとりを通じて、実際の渡航目的が認可されていない職務活動であることがわかり、入国拒否を通告されるケースが相次いで報告されています。

さらに、CBP審査官に説明した渡航目的が不正確であったために、入国を拒否されたケースも複数報告されています。一例として、渡航者が当初から米国で「職務」、「労働活動」または「ビジネス活動」に従事することを目的としているにも関わらず、審査官に渡航目的は観光であると答えてしまうケースがあげられます。審査官との質疑応答を通じて実際の目的が「職務」、「労働活動」または「ビジネス活動(たとえ認可されていている内容であっても)」に従事することであると判明したことで、CBP審査官に「この渡航者は最初の質問時に虚偽の理由で入国しようとした」と判断され、入国が拒否されるケースも多々報告されています。

米国への入国が拒否された渡航者は留置され、入国時に搭乗した航空会社の次に空いている便で元の出発国に送還されることになります。さらに通常渡航者がその追加航空料金を負担しなければなりません。また、一度入国を拒否された渡航者は、原則永久的にVWPのもとでの渡米が禁止され、以降の渡米時には適切なビザを申請し、さらにその申請時には過去の入国拒否についての情報を開示し、説明しなければならなくなります。このような状況に陥らないようにするため、VWPを利用する渡航者およびその雇用主には、米国で計画された活動がVWPにより認可されるものであることを確認し、CBP審査官に正確な渡航目的を説明できるように準備することが求められます。

2023511日に、バイデン政権が米国へ入国する外国人渡航者に対する「コロナワクチン接種要件」を終了すると発表したことに伴い、渡航者数は今後も増え続けることが予想されます。上記で示した理由以外にも、米国への短期出張や旅行の際には適切な準備と計画を立てることが円滑な入国および旅程運びに肝要となってきます。VWPおよびESTA、または計画中の米国でのビジネス活動もしくは出張に関するご質問等ございましたら、当事務所移民法部門の弁護士までお気軽にご連絡ください。

© 2024 Masuda, Funai, Eifert & Mitchell, Ltd. All rights reserved. 本書は、特定の事実や状況に関する法務アドバイスまたは法的見解に代わるものではありません。本書に含まれる内容は、情報の提供を目的としたものです。かかる情報を利用なさる場合は、弁護士にご相談の上、アドバイスに従ってください。本書は、広告物とみなされることもあります。