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ニュース&イベント: クライアント・アドバイザリー

2022年の不動産事業に関する戦略的考察

3.30.22
関連業務分野 不動産

企業で不動産事業に携わる最高責任者は、毎年、数々のマクロおよびミクロの要因を考慮しながら長期事業計画について決断を下す必要があります。2022年は、企業が、不動産事業関連事項の決定に影響を与えるであろう多数のマクロの要因を適切に考察し、対処してゆく上で、おそらく今まで以上に困難が伴う年となることが予測されます。水晶玉をみつめてみたところで、それはいつまでたっても推測にすぎず、現在の経済、政治および公衆衛生環境の中で不動産市場の実勢について予測することは、コイン投げをするようなものです。しかしそれにもかかわらず、今年は、実際に次のような推測をすることができます。

  • 大部分の工業用物件、または工業用地に転用可能な物件の需要、吸収(Absorption)、占有および価格設定 2021年に見られたほどの最高レベルではないにせよ、これまでよりも高水準に留まり、今後も上昇し続ける傾向にあります。そのため、市場が落ち着くまで物件の拡大、購入または移転を遅らせようとしているか、あるいは遅らせることを検討している企業の不動産事業の担当責任者は、長い間待たされることになるでしょう。
  • 借入コスト 2022年には、ある程度増加するものの、歴史的低水準に留まることが予測されます。
  • 地価、建築労務費および資材費 2021年ほどのレベルではないものの、引き続き大幅に増加するでしょう。土地、建築業における労働力や資材の不足および納期の長期化は、継続はするでしょうが、軽減されることが予測されます。
  • インフレ率 近い将来、大幅に低下するとは思われませんが、いずれにしても、近年の水準をはるかに上回るレベルで推移すると思われます。
  • Build Back Better立法議案 現在の政権によるBuild Back Better立法議案の成立が失敗に終わり、不動産セクターに悪影響を及ぼす可能性のあった重要な税法改正が行われなかったことで、現行の法人税およびキャピタル・ゲイン税率が今後も引き続き適用されることが確実となりました。また、地価上昇した不動産物件を売却し、その売却益を確保しながら、交換用物件を取得しやすくするために、内国歳入法(IRC)第1031条の規定による税制優遇措置を今後も引き続き適用できることも重要な留意点です。
  • 雇用主が従業員に費やす費用(Employee Costs) 従業員がより柔軟性のある職場と生活環境の質を重視し、期待を寄せるようになったことで、ほとんどの市場において、雇用主が従業員に費やす費用が上昇することでしょう。これらの要因は、従業員の採用だけでなく、定着にも影響を及ぼすことになるため、企業は、不動産物件の移転または用地選定をする際の重要基準として考慮することをお勧めします。

2022年の企業による不動産に関する意思決定の要点は、マクロの要因により物事が簡単になったり、安くなったり、早くなったりすることは考えられず、先延ばしにしても最終的な利益は得られないということかもしれません。

© 2024 Masuda, Funai, Eifert & Mitchell, Ltd. All rights reserved. 本書は、特定の事実や状況に関する法務アドバイスまたは法的見解に代わるものではありません。本書に含まれる内容は、情報の提供を目的としたものです。かかる情報を利用なさる場合は、弁護士にご相談の上、アドバイスに従ってください。本書は、広告物とみなされることもあります。