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2022年度におけるグリーンカード発給数は過去最多に

11.8.21
関連業務分野 移民法

近時、米国国務省(以下「DOS」といいます)は、2022年度(2021年10月1日から2022年9月30日まで)には、雇用ベースの移民ビザ(いわゆるグリーンカード)の発給数が過去最多となるだろうと発表しました。

雇用ベースのグリーンカードに関しては、毎年、合計14万件の申請が認可されますが、その合計数の7%超が1つの国の申請者だけに認可されるということはありません。しかしながら、家族ベースのグリーンカードに関して、その全申請件数に対してグリーンカードが実際に発給されなかった場合、その未発給分は雇用ベースのグリーンカード申請の発給対象となります。家族ベースのグリーンカード申請手続の大半は、在外米国大使館・領事館で処理されるのに対し、雇用ベースのグリーンカード申請の大部分は、U.S. Citizenship and Immigration Services (以下「米国移民局」といいます)で処理されます。

在外米大使館・領事館が、新型コロナウイルス・パンデミックにより一時閉鎖されたことにより、ビザの申請処理が困難な状況となりました。そのため、家族ベースのグリーンカード申請の手続きが処理されず、そのような未発給分のグリーンカードが雇用ベースのグリーンカードの発給対象となりました。2021年度には、発給されなかった家族ベースのグリーンカードの申請数が約12万2千件に達したために、26万2千件超の雇用ベースのグリーンカードが発給可能となりました。2022年度には、未発給となることが予測される家族ベースのグリーンカード申請数が15万件に上り、その結果29万件超の雇用ベースのグリーンカードが発給可能となり、過去最多の発給数となることが予測されます。

DOSは、毎月発行しているビザ・ブリテン(公報)で、家族ベースおよび雇用ベースのグリーンカードについて、カテゴリー(種類)別に発給可能な件数を公表しています。ビザ・ブリテンはこちらのリンクでご覧ください。

ビザ・ブリテンには、各カテゴリーにより各申請者に指定されているPriority Date(優先日)に基づき、「Filing Priority Date(申請書類の提出が可能となっている優先日)」と「Final Action Priority Date(最終的にグリーンカードの発給が可能となっている優先日)」が掲示されています。グリーンカードは、申請者のPriority Date(優先日)がFinal Action Priority Dateに達するまでは、認可されません。

このビザ・ブリテンが発行された後で、米国移民局は、非移民ビザからグリーンカードへのステータスの変更(adjustment of status)(以下「AOS」といいます)を申請するために、Filing Priority DateまたはFinal Action Priority Dateのいずれを利用することを認めるかどうかを決定します。米国移民局が掲示するAOS申請に関する表については、こちらのリンクをご覧ください。これらのPriority Date(Filing Priority DateおよびFinal Action Priority Date)は、各ビザ・カテゴリーにおいて予測される申請状況に基づいて決定されるため、(申請数や発給可能なビザ件数などにより)毎月変動する可能性があります。

2021年10月号のビザ・ブリテンによると、2022年度に発給可能な雇用ベースのグリーンカードの数が過去最多となることが予測されているにもかかわらず、未処理として滞留している雇用ベース・カテゴリーに関する手続上の進行は(あったとしても)ごく僅かでした。EB-2ビザとEB-3ビザ・カテゴリーについては、現在、インドと中国の各国における同カテゴリーの申請数が、上記で記載した1国あたりのグリーンカード発給上限率(合計申請数の7%)を超えているため、両国のビザ申請処理は依然として滞っています。

さらに、2021年10月号のビザ・ブリテンによると、DOSは、早ければ2021年11月にはEB-3ビザ・カテゴリーに関するすべての申請において発給数の上限率に達成する可能性があり、インドや中国に対してだけでなく、(世界中の)他のEB-3ビザ・カテゴリーについてもPriority Dateのカットオフ・デートを決定しなければならない可能性があると予測しています。そして、Final Action Priority Dateのカットオフ・デートが決定されれば、そのカットオフ・デートよりも早い時期のPriority Dateの指定を受けている申請者だけが、グリーンカードの取得手続きを完了させる資格を有することになります。

DOSは、関係者を対象に行われた会議で、2022年度に認可可能な雇用ベースのグリーンカードの発給数が過去最多となることが予測される一方で、米国移民局は、すでにその数に達してしまうほどの数のAOS申請を受け取っていると発表しています。したがって、DOSは、今後もグリーンカードの発給状況を注視してゆくものの、もし発給可能数の上限に達してしまった場合は、少なくとも2022年のある時点まではEB-3ビザ・カテゴリーの手続における進行は見込めないとしています。

前述の雇用ベースのグリーンカード申請に関するPriority Date に関して何か進展が見られましたら、当事務所のホームページに追加情報を掲載いたします。

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