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ニュース&イベント: クライアント・アドバイザリー

米国環境保護庁(EPA)、PBT化学物質含有製品に関してノーアクション保証を発表

3.26.21
関連業務分野 商事/競争/取引

概要 

EPAによる最終規則: 2021年1月21日に、米国環境保護庁(U.S. Environmental Protection Agency)(「EPA」)は、難分解性、生体内蓄積性および毒性物質(「PBT物質」)とみなされる5種類の化学物質にさらされる危険性を軽減するために、有害物質規制法(Toxic Substances Control Act)の下で5つの最終規則を発表しました。本最終規則が適用される5種のPBT物質は、デカブロモジフェニルエーテル(「DecaBDE」)、2,4,6-トリ-tert-ブチルフェノール(「2,4,6-TTBP」)、ヘキサクロロブタジエン(「HCBD」)、ペンタクロロチオフェノール(「PCTP」)およびリン酸トリス(イソプロピルフェニル)(3:1)(「PIP(3:1)」)です。本クライアント・アドバイザリーは、これら5種のPBT物質のうちPIP(3:1)に関して、2021年2月5日から実施される最終規則に焦点を置きます。PIP(3:1)は、ワイヤーカバーや鋳物などのプラスチック部品に使用される可塑剤としてその難燃性と効力を高めるために、エレクトロニクス・自動車・建設・製造産業および他の重工業で広範に使用されています。

禁止条項: 本最終規則は、2021年3月8日以降に、PIP(3:1)が使われた製品や物品を含め、商事取引でPIP(3:1)の処理および流通・販売を行うことを禁じています。本最終規則では、ほとんどのPIP(3:1)製品について、規則実施までの移行期間が設けられていません。つまり、本禁止条項は2021年3月8日当日に完全に有効となり、禁止条項の適用除外や実施の遅延がある場合を除き、以後、PIP(3:1)を含む製品を合法的に米国に輸出したり、または米国内で販売したりすることはできなくなったということです。

例外条項: 本最終規則には、PIP(3:1)の禁止条項に関する例外がいくつか含まれています。これらの例外事項に基づき、次のような場合には、2021年3月8日以降もPIP(3:1)の処理および流通・販売が許可されます。PIP(3:1)が、(i) 航空業界や軍事目的における油圧油に使用される、(ii) 潤滑剤およびグリースに使用される、(iii) 自動車および航空宇宙機に使用される新規部品や交換部品として製品に組み込まれる、(iv) シアノアクリレート系接着剤を生産する中間過程において、密封設備内で使用される、(v) 機関車や海洋用途の特殊エンジン・エアー・フィルターに使用される、(vi) リサイクル過程で新たなPIP(3:1)が使用されていなくても、PIP(3:1)を含有する製品や物品からリサイクルされたプラスチックを使用する、または、(vii) リサイクルされたプラスチックから製品や物品を生産する過程で新たなPIP(3:1)が使用されていなくても、PIP(3:1)を含有する製品や物品からリサイクルされたプラスチックを利用して、最終製品や物品を生産する場合。

記録保持、通知義務および排出禁止義務: 本最終規則では、企業に対して、通常から同規則による禁止、制限および他の事項の遵守に関する事業記録を取り、それを3年間保存することを義務づけています。さらに、本最終規則により、2021年7月6日以降、商事取引上何らかの用途でPIP(3:1)やPIP(3:1)を含む製品を製造・処理・販売する会社には、製品安全データシートや製品ラベルの表示を用いた通知義務が課されます。そのような通知は、製品が発送される前または発送と同時に行われなければなりません。また、本最終規則により、取引上PIP(3:1)やPIP(3:1)を含む製品を製造・処理・販売する会社が、その過程においてPIP(3:1)を水域に排出することも禁じられています。

民事罰: 本最終規則の違反に対する刑罰は、合衆国法典第15編第2615条(15 U.S.C. § 2615)に基づく民事罰で、ひとつの違反について37,500ドルまでの罰金が科せられます。違反が継続する限り、1日ごとに生じる違反はそれぞれ新たな違反とみなされます。また、本最終規則に対する故意の違反があった場合には、民事罰に加えて、もしくは代わりに、(i) 違反が続く限り、1日ごとに50,000ドルを上限とした罰金、または(ii) 1年を最長期間とする懲役刑のうちいずれかもしくは両方の刑罰からなる刑事罰が科される可能性があります。

ノーアクション保証(No Action Assurance): 今のところ、製造会社およびディストリビューターは、この先6カ月間はPIP(3:1)やPIP(3:1)を含む製品を使用し、販売することができます。2021年3月8日に、EPAは、本最終規則による裁量権を行使し、2021年3月8日から180日間、すなわち2021年9月4日11:59 pmまでは、企業が本規則の例外適用外のPIP(3:1)を含む製品の製造と販売を継続した場合でも、違反に対する執行措置は取らないことを示すノーアクション保証を発表しました。特に、このノーアクション保証が発表されたことによって、商事取引に必要な製品の加工や販売において、現在PIP(3:1)を取り扱っているためまだ本最終規則の禁止条項を遵守できず、本規則を遵守している旨の表示義務も履行できない企業には、(違反行為を即時に是正せずに済むなど)救済が与えられたことになります。しかし、ノーアクション保証に基づき、現状のまま業務を継続する企業も、本最終規則による記録保持や通知義務などの他の条件に従う必要があります。さらにノーアクション保証により、EPAが5種のPBT物質に関する最終規則に対するパブリックコメントを募ることができるように60日の期間が設けられています。

パブリックコメントの期間: 複数の産業グループが、すでに多種の商業分野で難燃性可塑剤として広範囲に利用されているPIP(3:1)を他に危険性が少ない代用品と取り替えることは容易ではないため、本最終規則に従い、2021年3月8日後にPIP(3:1)を含む製品の製造と販売が禁止されれば、深刻な苦境に追い込まれるだろうとEPAに報告してきたため、それに対応してノーアクション保証が発行されました。60日間のパブリックコメント期間が終了し、2021年9月4日に180日のノーアクション保証期間が満了し、その後、EPAがさらにPIP(3:1)の使用を許可するために、本最終規則の例外事項の範囲を拡張することになるか否かはまだわかりません。

企業が行うべきこと: PIP(3:1)を含む製品が主要産業界で散在しており、本最終規則を遵守しない場合は、重い刑罰が科されるため、企業は、この180日の期間を利用し、すでにサプライチェーンに出されているPIP(3:1)を含む製品の位置をさぐり、2021年9月4日後にそのような製品を製造または販売できなくなった場合に使用できる代用品を見つけておくべきです。また、今後、EPAから発表されるニュースなどに注意を払い、本最終規則に関する新たな解釈や例外事項について知っておくべきです。本最終規則または本規則が貴社の事業運営に与える影響などに関してご質問がございましたら、当増田・舟井法律事務所の貴社の担当弁護士までご連絡ください。

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