Skip to Main Content
ニュース&イベント: クライアント・アドバイザリー

中国貿易に更なる制限を課す米国

6.8.20
関連業務分野 商事/競争/取引

新型コロナウィルスの拡散速度を抑制するための様々な地域経済のロックダウンにより、中国との貿易に影響を与える米国輸出規制法における最近の変更から、多くの人々の関心はそらされています。中国からの特定医療品に対する輸入関税を米国が免除した一方で、中国製品の多くのクラスに課せられる米国輸入関税は依然として有効です。さらに最近になり、米国商務省産業安全保障局(BIS)は、以下のように結論付けました。

  1. 中国は、外国技術製品の輸入者の民事的もしくは軍事的帰属性を「特定できないようにする民事・軍事統合政策」を実施しており、かつ
  2. 規制された技術製品が中国国内および特定の他国において軍事使用に転用されていることの証拠がある。

こうした結論の結果として、米国政府は輸出規制制限の厳格化に乗り出しており、それには次の事項が含まれます。

  1. 米国輸出管理規制 (EAR) で 規制される製品が、カントリーリストA:1に列挙された国々および香港からカントリーリストD:1に挙げられた国々(ロシア、中国およびベネズエラを含む)へ再輸出される際にはライセンスが必要となる。以前は、特定の再輸出が、ライセンス要件のAPR(追加的黙認再輸出)の例外に当てはまる場合、ライセンスは必要とされなかった。しかし、今後そのような例外はもはや適用されないこととなる。さらに、中国本土が課す新たな香港国家安全法に対する米国政府の反応の一環として、米国輸出規制の下で香港当局に与えられていた許容範囲が全て無効とされる可能性があると当事務所では予測している。
  2. 国家安全を目的として規制される物品がカントリーリストD:1の国々(上述の通り、ロシア、中国およびベネズエラを含む)に輸出される際には、今後ライセンスが必要となる。これまでのライセンス例外CIV(民間のエンドユーザーへの出荷)はもはや適用されない。
  3. 2000年6月29日よりD:1の国々への輸出の際に輸出ライセンスを要する物品のリストが増強された。さらに、「軍事的エンドユーザー」および「軍事的最終用途」の定義は、軍事活動や治安活動を支援してきた非軍事組織および関係者も含める広範なものとなっている。今回の新たなルールは、ロシア、中国およびベネズエラの政府が、防衛、安全および諜報活動を遂行するにあたり非軍事組織を利用してきていることを認識した上でのものである。

中国の購入者に広く影響を及ぼす当該輸出規制とは別に、米国は現在、ファーウェイ(華為技術)およびその関連企業との売買取引に対し適用される規制をいくつも設けています。BISは、今夏、規制された技術に関与する特定のファーウェイ企業との取引を禁じた2019年5月の命令に変更を加える意向です。まず第一に、BIS は既存のネットワークおよびシステムをサポートすることを目的とした装置の供給を認める一時的な一般ライセンス(TGL)を2020年8月13日まで延長する予定です。

第二に、BIS は、近頃のファーウェイは、半導体を入手する際、米国の技術および装置を利用する海外の工場を大幅に利用していると結論付けました。こうした傾向に対抗するために、BISは「直接製品(direct products)」の定義を拡大し、米国の技術もしくは米国製の製造装置を用いて米国外で製造された製品が含まれるようにしました。今や、外国で製造され、規制品目リスト(CCL)のカテゴリー3、4および5に該当する特定の製品は、ファーウェイがそれらの設計、開発もしくは製造に関与していれば、「直接製品」とみなされます。今回の新たなルールの真の適用範囲は十分に解明されておらず、今後BISによるこれら新規制の意図の明確化が望まれます。しかしながら、現時点で明らかなことは、特定の電気回路や半導体のために米国技術を利用している外国企業は、派生商品の設計や開発にファーウェイ関連企業が関与していることにより、米国の輸出規制に違反している可能性があるということです。ゆくゆくは 、次々と拡大される規制にも関わらずファーウェイとのビジネスを継続する外国企業に対し、米国技術へのアクセスが閉ざされることになるかもしれません。

© 2024 Masuda, Funai, Eifert & Mitchell, Ltd. All rights reserved. 本書は、特定の事実や状況に関する法務アドバイスまたは法的見解に代わるものではありません。本書に含まれる内容は、情報の提供を目的としたものです。かかる情報を利用なさる場合は、弁護士にご相談の上、アドバイスに従ってください。本書は、広告物とみなされることもあります。