Skip to Main Content
ニュース&イベント: 訴訟関連情報

米国司法省反トラスト局は、企業の独占禁止法遵守プログラムの効果的な実施を促進するために新たなガイダンスを発行した。

8.22.19
関連業務分野 訴訟, 商事/競争/取引

2019年7月11日、米国司法省反トラスト局(「反トラスト局」)は、独占禁止法違反に対処し、刑事事件として審査するための手段(criminal antitrust investigations)を全面的に変更すると発表した。当局は、今後の独占禁止法違反の審査で、起訴するか否かを判断する際には、企業の独占禁止法遵守プログラムを考慮すると述べた。

この変更により、反トラスト局が当局の法人軽減処罰(課徴金減免)制度(リニエンシー・プログラム)の下で長年実施してきた規則が無効となった。これまでは、たとえ法人が独禁法遵守プログラムを設置・実施していても、反トラスト局が法人の違反に対して刑事起訴を決定する段階で、プログラムの適用を理由に刑罰を軽減するなど配慮がされたわけではなかった。反トラスト局は、独占禁止法の違反を「まず一番最初に」自主申告した違反者に対してだけ制裁金の減額を認めていた。

現在は、被疑者とみなされる企業は、リニエンシー・プログラムの適用資格がなくても、有効な独禁法遵守プログラムを実施していれば、反トラスト局と訴追延期合意(deferred prosecution agreement)を締結することができる。本合意に基づき、同企業が特定の変更をすれば、検察官は一定期間後に、公判請求を取り下げることができる。企業に適格遵守プログラムを実施させるためのインセンティブとしては、上記のほかに、企業が(連邦地裁で)独禁法違反により起訴された後の判決で、罰金を含む刑事刑罰が軽減される可能性が挙げられる。

新ガイダンスの下、反トラスト局の検察官は、起訴を決定する段階で企業の独禁法遵守プログラムの審査を行う際に、次の3つの根本的な問題点について検討するはずである。

  • (1) 企業が企画した本プログラムは適切なものか?
  • (2) 企業は本プログラムを真摯に実施しているか?
  • (3) 本プログラムは、順調に実施されているか?

さらにガイダンスは、検察官に対して、独禁法遵守プログラムの実施効果を審査する際には、次の3つの予備的質問事項を検討するように促している。

  • (1) 企業の遵守プログラムでは、独禁法違反が刑事法による違反行為であることについて説明し、そのような違反行為を禁じているか?
  • (2) 当該遵守プログラムは、違反行為の発見に役立っているか、そして違反を発見した者に対して、即時の通報を促しているか?
  • (3) 企業の上級経営陣が違反行為にどの程度関与していたか?

さらに、プログラムの実施効果を審査する上で、検察官は次の9つの点を考慮するはずである。(1) プログラムの内容と包括性、(2) 企業内でプログラムを遵守するためのカルチャー(企業文化)、 (3) 独禁法を遵守する責任および遵守を徹底するための経営資源、(4) 独禁法違反のリスク評価方法、(5) 従業員に対する独禁法遵守トレーニングとコミュニケーション、(6) 独禁法遵守プログラムの監視と監査(プログラムの継続的なレビュー・評価および修正を含む)、(7) 報告システム、(8) 遵守を促すためのインセンティブと遵守に関する規律、および(9) 改善手段。

要するに、反トラスト局は、前述の遵守プログラムが、本格的、効果的かつ万全に備えた予防規則から構成されることを重視している。そしてそのプログラムは、企業の上級経営陣が誠意を以って十分に支援するものであり、全従業員に配布されるだけでなく、徹底した研修が行われ、レビュー⁄更新されるものでなければならない。単刀直入に言えば、単に独禁法遵守規則を文書で作成するだけでは、新ガイダンスによる刑事刑罰の軽減を受けるのに十分とは言えない。

このように米国司法省反トラスト局が大改革を行ったが、それは企業にとって社内の独禁法遵守プログラムを見直すよい機会である。貴社の遵守プログラムが、これらの強化基準を満たすものであることを確認するために今適切な手段を講じておけば、万が一、独禁法違反の疑いで調査が行われても慌てずにすむ。適切なプログラムを設けることで、貴社と従業員を保護するだけでなく、そもそも独禁法違反行為が生じる前に、そのような違反が生じるリスクを発見し、貴社の違反回避能力も高められる。その結果、貴社は、独禁法調査および独禁法違反による起訴に巻き込まれ、高額の経費を負担するリスクを軽減できるに違いない。

© 2021 Masuda, Funai, Eifert & Mitchell, Ltd. All rights reserved. 本書は、特定の事実や状況に関する法務アドバイスまたは法的見解に代わるものではありません。本書に含まれる内容は、情報の提供を目的としたものです。かかる情報を利用なさる場合は、弁護士にご相談の上、アドバイスに従ってください。本書は、広告物とみなされることもあります。