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ニュース&イベント: クライアント・アドバイザリー

鉄鋼およびアルミに対する米国輸入関税の状況

3.16.18
関連業務分野 商事/競争/取引

米国は、2018年3月23日以降に輸入される全ての鉄鋼およびアルミニウムの価格に対し、それぞれ25%および10%の輸入関税を課すこととなる。この新しい関税は、

  • 鉄鋼およびアルミニウムのバー、棒、パイプ、シート、プレート、鋳塊、および類似の製造原材料および部品に対し、
  • カナダおよびメキシコ以外の全ての国から輸入される場合に、適用される。

一方、鉄鋼またはアルミを原料とする完成品の大半においては、そのような原料が使用されていることのみを理由に、当該関税の影響を受けることはないと思われる。さらに、トランプ大統領の布告第9704号および第9705号は、外国から鉄鋼およびアルミを輸入する米国の輸入者は、国内生産供給力の限界や国家安全保障上の懸念を理由として、当該関税からの適用除外を受けることができるとも述べている。大統領布告では、当該関税の適用除外を認められるための基準については、詳細な説明はない。今回影響を受ける鉄鋼製品の関税は現在ほぼゼロのレベルであり、またアルミの輸入に関しての関税も現在はかなり低いため、これらの関税は米国輸入者にとって著しいコストとなる。

より詳細な情報を添えた大統領令が追って出されると予期されるが、それらがオーストラリアからの鉄鋼およびアルミを除外するという可能性もあるであろう。米国通商代表部もEU および日本と適用除外の可能性について話し合いを行っている。米国の輸入者は、たとえ日本の鉄鋼およびアルミへの適用除外が包括的に認められたとしても、日本のサプライヤーが日本国外から調達した鉄鋼およびアルミについては、かかる適用除外によっても関税から逃れることはできないと認識しておくべきである。

今日現在、輸入者へのより詳細なガイダンスとなるような、新たな大統領令は署名されておらず、商務省からの新たな規制の提案もなされてはいない。

多くのメディアは、米国のこの新たな輸入関税が違法であり、他国からの報復措置を招き得るといった可能性に焦点をあてた報道をしている。しかしながら、こういった可能性が、近い将来課せられる当該関税に影響を与えることはない。鉄鋼およびアルミの米国輸入者は、新たな大統領令もしくは議会制定法によりそれらが変更される時まで、鉄鋼およびアルミに課せられた当該高関税を支払っていく準備をすべきである。

© 2024 Masuda, Funai, Eifert & Mitchell, Ltd. All rights reserved. 本書は、特定の事実や状況に関する法務アドバイスまたは法的見解に代わるものではありません。本書に含まれる内容は、情報の提供を目的としたものです。かかる情報を利用なさる場合は、弁護士にご相談の上、アドバイスに従ってください。本書は、広告物とみなされることもあります。