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ニュース&イベント: クライアント・アドバイザリー

Patent Freedom-to-Operateとは何か?必要となる場面は?

3.30.23
関連業務分野 知的財産テクノロジー

米国で製品を製造・使用・販売し、米国に製品を輸入する際には、特許権侵害のリスクが常に伴います。

そこで、特許権侵害のリスクを特定し、最小限に抑える等リスク管理する際に必須となるツールがFTO(Freedom-to-Operate)調査です。M&Aの場面でも、多額の資金調達を要する場合や、第三者の特許権を侵害するおそれを察知した場合、あるいは、新しいマーケットへの進出可能性を検討する初期計画段階でも、FTO調査は重要なツールとなり得ます。

FTO調査では、ある製品や技術に類似する他者の特許権で、存続期間が満了していないもの、および公開されている特許出願を調査・特定します。特許に精通する弁護士は、特許調査を行い、その結果を評価し、特定された特許および出願から特許権侵害が生じ得るリスクについて見解を述べることになります。調査により、侵害のリスクがほぼゼロに近い特許や出願はリスク対象から除外することができます。侵害のリスクが高い特許や出願が発見された場合でも、当該特許により生じ得るリスクを回避するために適切な戦略について弁護士からアドバイスを受けることができるでしょう。

米国市場を対象に新製品を開発し、または製品販売を行う企業は、当該製品により特許侵害紛争が生じるリスクを最小限に抑えるために、FTO調査を行うことをお勧めします。製品の開発プロセスの早期段階でFTO調査を行えば、かかる開発プロジェクトに多額の投資を行い引き返せない状態になる前に特許侵害リスクを回避でき、製品の設計や他の戦略的な変更も柔軟に対応可能となります。

M&Aでは、デュー・デリジェンスの過程で対象会社の製品・サービスについてFTO調査を行うことにより、隠れた特許侵害リスクを特定することができ、M&Aのクロージング前にかかるリスクに対処することができます。企業が第三者の特許権を侵害しているおそれを察知した場合には、かかる特許権に関して特許弁護士からFTO調査の意見書を得ることで、第三者から故意の侵害および侵害の誘発の主張を受けたとしても、その意見書が企業にとって追加的防御手段となります。

FTO調査は、リスクを特定し管理するだけでなく、潜在的リスクを危惧しながら多額の投資を行う投資家の企業に対する信用度をより高めることにもなるため、資金調達を望む企業にとってもプラスとなるでしょう。企業の戦略策定プロセスの一環として知財のFTOランドスケープ調査を行えば、競合状況を把握しつつ、さらなる製品開発の可能性や独自の特許を得られる見込みのある分野を特定することもできます。

FTO調査と意見書の作成には、費用と時間を要する場合があります。したがって、FTO調査を行うことが必要かつ現実的かは、状況により判断されるでしょう。FTO調査の実施を決定する際の考慮事項は、以下が挙げられます。

  1. 製品に対する投資額
  2. 予測される製品の収益の流れ
  3. 製品の予測使用期間
  4.  関連市場の競争力
  5. 当該業界および/または類似した製品もしくは技術に関する特許訴訟の状況
  6. 企業の事業戦略と全体的なリスク許容度

企業が、いつ、どのような状況でFTO調査を実施することが適切であるかを判断し、FTO調査を実施するための戦略と調査範囲を検討する際には、特許に精通する弁護士に相談することをお勧めします。

FTO調査は、企業が特許侵害で訴えられることがないことを保証するものではありません。しかし、FTO調査は、企業がリスクを特定し、管理し、軽減する上では有用かつ重要なツールです。FTO調査に関してさらに情報やアドバイスをご希望の方は、マイケル・ゴーレンソン(MGolenson@MasudaFunai.com)までご連絡ください。

© 2024 Masuda, Funai, Eifert & Mitchell, Ltd. All rights reserved. 本書は、特定の事実や状況に関する法務アドバイスまたは法的見解に代わるものではありません。本書に含まれる内容は、情報の提供を目的としたものです。かかる情報を利用なさる場合は、弁護士にご相談の上、アドバイスに従ってください。本書は、広告物とみなされることもあります。