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ニュース&イベント: クライアント・アドバイザリー

コロナウイルス感染パンデミックがオフィスなどの長期賃貸借契約やスペースの活用法に与える今後の影響

7.16.20
関連業務分野 不動産

米国では、新型コロナウイルス感染(COVID-19)パンデミックの影響で、長期におけるオフィス・スペースの活用や配置などに関する視点が大きく変わってくる可能性があります。

このような変化は、オフィス・スペースに限らず、生産現場でも見られるようになるかもしれません。会社に設置する個室オフィスの数を減らし、よりオープンなワーク・ステーションとコラボレーション・ポッズ(collaboration pods)と呼ばれる、少人数で利用できるスペースを設ける傾向がすでにあったところに、COVID-19の拡散を防ぐためソーシャル・ディスタンシング(social distancing)が必須となり、正式に義務づけられるようになりました。さらに、在宅勤務を新たな勤務形態として肯定的に捉え、会社で今後も長期間、在宅勤務規則が実施されるように雇用主に働き掛ける従業員もいます。こうした傾向は、オフィスの賃貸借契約(「リース」)の様式だけでなく、あらゆるタイプの生産現場やワーク・スペースを変えてしまう可能性があります。すでに、現在の市場では、倉庫およびロジスティクス分野の業務スペースの使用で大きな変化が見られるようです。

上記のような状況において、会社は、短期および長期のリースに関する対処法を再検討しようとしています。現に、長期リースを結んでいるにもかかわらず、オフィス・スペース(または生産現場)の利用手段を調整しようと、方策を練っている会社もあるかもしれません。

また、COVID-19パンデミックとその経済的影響により、賃料の支払義務を履行する上で困難に直面している会社もあるでしょう。そのような状況に対応し、会社はどのような方策を講じることができるでしょうか?

リースの条件を見直し、賃料支払に関する救済策があるか検討する

現在、会社が賃料の支払義務を履行する上で苦しい状況に置かれている場合、リース条項による救済はあまり期待できないかもしれません。それでもなお、賃借人(テナント)である企業に対しては、一度弁護士に相談し、契約に含まれる不可抗力(force majeure)条項を見直し、何らかの救済を受けられないか検討することをお勧めします。リースに含まれる不可抗力条項は、リースごとにそれぞれ大きく異なることがあり、「どのような場合にも適用される」種類の条項ではないため、慎重に検討する必要があります。経済情勢が不可抗力条項の適用対象とはみなされず、救済が受けられない場合、会社は代替策として、賃料の一部の支払方法について短期間の調整が可能か賃貸人(家主)との再交渉を試みることができます。つまり、(経済の回復を期待し)特定の期間は減額賃料を支払い、後にその差額を毎月の分割払いで利息と共に返済することを提案するのです。会社としては、リースの履行義務を怠るような状況は避けたいでしょうが、経済的現状から判断した場合、予測不可能な時世では、代替策の検討がどうしても必要となることがあります。

リースの条件を見直し、長期的対策を講じる可能性を検討する

会社のリース(契約書)を読むと、リースについてどのような長期的対策を講じるべきかその指針が示されていることがあります。リース期間の短縮や(賃借)物件スペースの縮小を考えたことのある会社は、「早期解約」の選択権または「(賃借)物件スペースの明け渡し」選択権について交渉したときを思い出すかもしれません。いずれの場合も、このような選択権は、「占有面積(スペース)」の縮小や契約期間の短縮について交渉し、新たな取り決めをする際に役立つことがあります。そして、新たなリースに対処する上で家主にアプローチするための糸口がみつかるかもしれません。少なくとも理論上は、および現在の情勢と賃借スペースの用途が変わりつつある状況では、リースの更新について家主と協議するきっかけとなる条項が、現在のリースに含まれている可能性があることをテナントは認識しておくべきです。いずれにしても、まずは弁護士に相談し、弁護士と共に貴社のリース条件を見直すことで、今後の方策や家主との交渉のヒントを見つけることができるかもしれません。

現在の経済的環境において賃借スペースを検討する際には、過去の経済停滞期とは異なり、(i) ソーシャル・ディスタンシングや健康上/衛生上の問題、(ii) ますます活発化する「在宅勤務(work-from-home)」推進活動、および(iii) 将来、会社が実際に必要とするワークスペースといった新たな三要素を考慮しなければなりません。収容人数(密度)が高くなっても、賃借スペースを縮小させる傾向は(COVID-19パンデミック発生前から)すでに見られていました。おそらく大多数の会社(雇用主)が従業員の大部分をオフィスに復帰させたいと考えているのではないかと思われる一方で、ソーシャル・ディスタンシングの必要性に対応しながら、より縮小されたスペースを望む傾向があると聞いてもしっくりこないように聞こえます。ご存じの通り、市場は、常に需要と供給により左右されるものであるため、前述の変化により今後どのような影響がもたらされるのかは現時点では不明です。

本稿に関して、ご質問・ご不明点等ございましたら、貴社の担当弁護士までご連絡ください。

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