月刊 ビジネス移民法ニュース-2011年5月

Date: 5/6/2011
 月刊 ビジネス移民法ニュース(2001年5月)

2012年会計年度におけるH-1Bの枠内申請はまだ受付可能

 米国市民権移民サービス(USCIS)は、2012年会計年度(2011年10月1日から2012年9月30日)におけるH-1Bの枠内申請について発表した。従来どおり、H-1Bの発行枠の上限は、普通枠で65,000、米国で修士以上の学位を取得した外国人を対象とする別枠で20,000となっている。雇用主は、2012年会計年度の開始する2011年10月1日の6ヶ月前、すなわち、2011年4月1日から嘆願書を提出することができる。2012年会計年度におけるH-1Bの枠内申請の最初の提出期間は、2011年4月1日から4月7日までであったが、この期間にUSCISが受理した嘆願数は、約5,900件であった。

 USCISは、2011年4月29日付けで受理した2012年会計年度の枠内申請数が、普通枠で約9,200件、別枠で約6,600件であったと発表した。

 USCISは、発行枠の上限に達するまでは嘆願を受け付ける。

 (本記事についての詳細は、当事務所の英語ウエブサイトをご参照ください。)

USCISは、盗難防止郵便制度を拡張

 USCISは、特定の移民関係書類を安全、確実、かつ適宜に送達するために、配達確認書付プライオリティ・メール(優先扱い郵便)を使用する盗難防止郵便制度(Secure Mail Initiative, (SMI))の完全実施に踏み出したと発表した。SMIは、従来、グリーン・カードおよび再入国許可書(Re-Entry Permit)の送達に使用されていたが、今後は就労許可カード(Employment Authorization Document)にも使用される。

 SMIを通して、送達の追跡調査は可能だが、USCISのカスタマ・サービス・センターに追跡情報を要求できるのは、承認通知を受け取ってから最低2週間を過ぎても書類が送達されない場合に限る。米国郵政公社が原因で書類が紛失したことを証明できれば、USCISは、無料で再発行に応じる。

OSCは、移民法に関連した雇用差別の主張において和解が成立したことを発表

 米国司法省 (DOJ)下の諮問委員会(Office of Special Counsel (OSC))は、非米国市民の雇用を拒否し雇用差別を行ったとの主張で提訴されていたメイン州のWendy's(ファーストフード・チェーン店)の会社所有者との間で和解が成立したことを発表した。OSCによれば、この所有者は、合法的に就労可能な非米国市民と思われる者の雇用を拒否する規則を設けた。移民国籍法(Immigration Nationality Act (INA))は、市民権がないという理由で、合法的に就労可能な外国人の雇用を拒否することを禁じている。和解条件として、その所有者は、14,500ドルの未払い賃金とその利子、および3,200ドルの民事制裁金を、不当に雇用を拒否された者に支払うことに同意した。

DHSは、現在のNSEERSプログラムを事実上終了する

 国土安全保障省(DHS)は、国家警備出入国登録制度(the National Security Entry-Exit Registration System (NSEERS))に基づき登録対象となっていた外国人の出身国リストを削除すると発表した。2001年9月11日の同時多発テロの後、DHSは、安全保障上の脅威となる可能性が高いとの分析を受けた国の出身である特定の人物の入国、滞在、出国を記録するために、一時的な措置として2002年にNSEERSを導入した。それらの国の出身者は、NSEERSに基づき、米国内において指定された118ヶ所の空港および海港での出入国に際し、2次的検査で特別の登録を義務付けられていた。しかしながら、その後DHSは、出身国を問わず外国人の出入国情報を自動的に捉えることのできるより改良されたシステムを導入することで、NSEERSに基づく手書きによるデータの書き込みが不要になったと述べた。従って、NSEERSの登録義務の対象となっていた外国人は、今後米国のいかなる空港または海港においても、このような義務に従う必要がなくなった。ただし、DHSは、将来特別の登録プログラムが再度必要になることを鑑みて、NSEERS規則を撤回しなかった。

大学の学長が学生ビザの偽造により起訴される

 移民関税捜査局(Immigration and Custom Enforcement (ICE))は、連邦大陪審がトライ・バリー大学(Tri-Valley University)の学長を、ビザ詐欺、資金洗浄、外国人蔵匿を含む33の刑事訴因に基づき起訴したことを発表した。本件起訴は、ICE下の国土安全保障調査局(Homeland Security Investigations (HIS))が2年がかりで行った調査の結果である。当事務所の2011年月刊移民法ニュース2月号に掲載したように、ICEは、2011年1月にトライ・バリー大学をF-1ビザ規則違反に基づき閉鎖した。その後ICEは、同校の不動産資産の押収と学長の逮捕を求めて、連邦裁判所に訴状を提出した。起訴状によれば、学長には懲役1年から最高20年の実刑が科せられている。

 (本記事についての詳細は、当事務所の英語ウエブサイトをご参照ください。)

人材派遣会社が移民法に関わる雇用差別の主張で和解

 求職者を不適切に事前調査し、彼らが提出した有効な就労許可カード(Employment Authorization Document(EAD))を却下し、雇用差別を行っていたという主張で提訴されていたアイオワ州の人材派遣会社が、DOJ下のOSCとの和解に応じた。OSCは、同人材派遣会社が、就労資格の裏付け書類を十分提出できない求職者に雇用申請手続を開始させず、有効なEADを提出した求職者の少なくとも一人の雇用申請を却下したことを確認した。同人材派遣会社は、和解の条件として、本件の被害者に対して民事制裁金および未払い賃金を支払うことに同意した。また、フォームI-9(就労資格確認書)手続における雇用主の差別禁止の責任に関わる人事部職員の教育について、OSCに定期報告を行うことに同意した。

DOSは、2011年5月号ビザ・ブリテンを発表‐EB-2インド人のカテゴリーを含み、全ての雇用に基づく移民ビザ・カテゴリーで進展あり

 米国国務省(DOS)は、2011年ビザ・ブリテン5月号を発表した。前回の移民法ニュースに掲載したように、雇用に基づく移民ビザ・カテゴリーは全般的に進展したが、中でも最も進展があったのは、EB-2インド人のカテゴリーである。

 以下の表は、2005年10月における雇用に基づく移民ビザのプライオリティー・デート後退から現在までの状況をまとめたものである。

Oct 2005

Dec 2007

Jun 2008

Aug 2009

Feb 2011

Mar 2011

Apr 2011

EB-3 World

03/01/01

09/01/02

03/01/06

U

04/01/05

07/01/05

08/22/05

EB-2 China

05/01/00

01/01/03

04/01/04

10/01/03

07/01/06

07/08/06

08/01/06

EB-3 China

05/01/00

10/15/01

03/22/03

U

01/01/04

01/22/04

04/15/04

EB-2 India

11/01/99

01/01/02

04/01/04

10/01/03

05/08/06

05/08/06

07/01/06

EB-3 India

01/01/98

05/01/01

11/01/01

U

02/22/02

03/15/02

04/15/02

EB-3 Other Workers

10/01/00

10/01/01

01/01/03

U

05/01/03

06/15/03

09/08/03

 (本記事についての詳細は、当事務所の英語ウエブサイトをご参照ください。)

USCISは、H-1B発行枠の免除決定に関する中間手続を実施

 USCISは、大学院以上の教育機関と関連する非営利組織に対するH-1B発行枠の免除規定を検討していることを発表した。USCISは、さらなる指針が発表されるまで、大学院以上の教育機関に関係しているという理由で非営利団体が提出したH-1B発行枠外の嘆願申請に対して、一時的に中間手続を適用すると述べた。

 USCISは、この中間指針に基づき、非営利団体が大学院以上の教育機関と関連するという2006年6月6日以来の決定について異なる見解を示すと述べた。嘆願者は、大学院以上の教育機関と関連する非営利組織としてH-1Bの枠外で提出した嘆願申請に対して、承認を得ていることを立証する責任を有する。かかる立証責任を果たすには、2006年6月6日以降に発行された承認通知の写しと、嘆願申請の際に提出した発行枠免除の裏付書類の写しをUSCISに提出すればよい。さらに、USCISは、嘆願者の組織が2006年6月6日以降に発行枠の対象外としての承認を受けたという宣誓証明を提出することも勧めている。

 USCISは、本手続があくまでも中間手続であり、追ってさらなる案内を発表することを強調した。

DOLは、H-1Bプログラムの規則に違反した公立学校区に対して相当な制裁金を科す

 DOL(米国労働省)下の賃金・時間部署(WHD)は、メリーランド州のプリンス・ジョージ郡公立学校区が故意にH-1Bプログラムの規定に違反したとの判断を示した。WHDの調査官は、同学校区がH-1B資格の教師に対し本プログラムにおける費用の支払いを要求して賃金カットをしていたことを発見した。DOLは、学校区を含み全ての雇用主は、法律に従い、雇用した全ての教師に賃金の全額を支払う義務があると述べた。DOLは、本件が故意の違反であったとして、420万ドルを超える未払い賃金の支払いと170万ドルを超える民事制裁金を科した。また、WHDは、本学校区による新規の嘆願、H-1Bの延長、「グリーン・カード」の申請が禁止されるべきであると勧告した。

USCISは、H-1B資格データ収集フォームにおけるTARPについての質問が不必要になったことを指摘

 USCISは、雇用主がH-1B資格データ収集フォームのパートAにおける不良資金救済保護基金(Trouble Asset Relief Program (TARP))についての質問事項に回答する必要がなくなったことを発表した。USCISは、TARP基金を受給したH-1B雇用主が米国労働者雇用法(Employ American Workers Act (EAWA))の追加要件の対象となっていたことを指摘した。しかしながら、2011年2月16日にEAWAの追加要件の有効期限が満了となったため、USCISは、そのウエブサイトにおいて、2011年2月17日以降の雇用開始を申請する嘆願者は、EAWAの遵守についての情報を提供する必要がなくなったことを明示した。

DOLは、H-2Bプログラムにおける変更を提案

 DOLは、H-2Bプログラムを「改定する」ための規則案を発表した。本規則案は、米国の労働者に、H-2Bプログラムに基づいて募集される外国人季節労働者と同等の保護と福利厚生を保証すると共に、雇用主が合法的な労働力のニーズをより容易に満たせるように、数ヶ所に亘りプログラムの変更を提案したものである。

 DOLは、本規則案は、雇用主のためにプログラムを「合理化」ならびに「改良」し、雇用主が一時的労働許可証明書を申請する前に、季節労働者を雇用すべき時期が近づいてきてから求人広告を行えるように、H-2Bの登録手続を変更するものであると述べた。またこの変更により、職業斡旋業者は、H-2Bプログラムを利用できなくなる。

 その他、本規則案には、以下の方法で「米国労働者に対する雇用機会の改良と保護の強化」を行うことが盛り込まれている。

1)米国労働者にH-2B外国人対象の職務への登録を可能にする。

2)雇用主が米国労働者を募集するために適切な手段をとったという証拠書類の提出を義務付ける。

3)外国の求人募集代理店の利用に関する代理店契約書を提出することを雇用主に義務付けることで透 明度を強化する。

4)地元の労働市場の条件と求人募集方法についての専門知識を連邦労働省に提供する州政府労働機関の役割を復活させる。

5)米国労働者の募集期間を延長する。

 さらに、本規則案には、DOL下のWHD(賃金時間部署)に、H-2Bプログラムに違反した雇用主にプログラムの利用を禁止する権限を付与することも含まれている。

  本記事及びその他の移民法について質問のある方は、エルドン・角田弁護士までご連絡ください。

Eメール:ekakuda@masudafunai.com (日本語可)

  また、当事務所のサービス、弁護士の説明などについて、ご質問・コメント等ございましたら、クライアント・サービス部門の江口 香、または徳吉 史子 (Tel: 312.245.7500)までご連絡ください。