月刊 ビジネス移民法ニュース-2011年4月

Date: 4/11/2011
 月刊 ビジネス移民法ニュース(2011年4月)

2012年会計年度におけるH-1Bの発行枠は、最初の提出期間を過ぎてもまだ上限に達せず USCISが最初の提出期間に受理した嘆願数は、過去最低

米国市民権移民サービス(USCIS)は、2012年会計年度(2011年10月1日から2012年9月30日まで)におけるH-1Bの発行枠が最初の提出期間(2011年4月1日から2011年4月7日まで)に上限に達しなかったため、2012年会計年度のH-1Bの発行枠に基づく嘆願を引き続き受け付けると発表した。

 USCISが2011年4月7日までに受理した嘆願数は、普通枠で約5,900件、別枠で約4,500件であった。この大幅な減少には様々な要因があるが、その一因として、前会計年度におけるH-1Bの発行枠が2011年1月26日に上限に達したばかりであること、米国の経済が低迷していること、およびH-1BビザやLビザの従業員を相当数有する企業に対してH-1B詐欺防止費用の負担が導入されたことなどが挙げられるかもしれない。

 (本記事についての詳細は、当事務所の英語ウエブサイトをご参照ください。)

国務省は、2011年5月号ビザ・ブリテンを発表 ‐ EB-2インド人のカテゴリーを含み、全ての雇用に基づく移民ビザ・カテゴリーで進展あり

米国国務省(DOS)は、2011年5月号ビザ・ブリテンを発表した。雇用に基づく移民ビザ・カテゴリーは全般的に進展したが、中でも最も進展があったのは、EB-2インド人のカテゴリーである。

次の表は、2005年10月における雇用に基づく移民ビザのプライオリティー・デート後退から現在までの状況をまとめたものである。


Oct 2005

Dec 2007

Jun 2008

Aug 2009

Feb 2011

Mar 2011

Apr 2011

EB-3 World

03/01/01

09/01/02

03/01/06

U

04/01/05

07/01/05

08/22/05

EB-2 China

05/01/00

01/01/03

04/01/04

10/01/03

07/01/06

07/08/06

08/01/06

EB-3 China

05/01/00

10/15/01

03/22/03

U

01/01/04

01/22/04

04/15/04

EB-2 India

11/01/99

01/01/02

04/01/04

10/01/03

05/08/06

05/08/06

07/01/06

EB-3 India

01/01/98

05/01/01

11/01/01

U

02/22/02

03/15/02

04/15/02

EB-3 Other Workers

10/01/00

10/01/01

01/01/03

U

05/01/03

06/15/03

09/08/03

USCISは、H-1B発行枠の免除決定に関する中間手続を実施

 USCISは、大学院以上の教育機関と関連する非営利組織に対するH-1B発行枠の免除規定を検討していることを発表した。USCISは、更なる指針が発表されるまで、大学院以上の教育機関に関係しているという理由で非営利団体が提出したH-1B発行枠外の嘆願申請に対して、一時的に中間手続を適用すると述べた。

 USCISは、この中間指針に基づき、非営利団体が大学院以上の教育機関と関連するという2006年6月6日以来の決定について異なる見解を示すと述べた。嘆願者は、大学院以上の教育機関と関連する非営利組織としてH-1Bの枠外で提出した嘆願申請に対して、承認を得ていることを立証する責任を有する。かかる立証責任を果たすには、2006年6月6日以降に発行された承認通知の写しと、嘆願申請の際に提出した発行枠免除の裏付書類の写しをUSCISに提出すればよい。さらに、USCISは、嘆願者の組織が2006年6月6日以降に発行枠の対象外としての承認を受けたという宣誓証明を提出することも勧めている。

 USCISは、本手続があくまでも中間手続であり、追って更なる指針を発表することを強調した。

労働省は、H-1Bプログラムの規則に違反した公立学校区に対して相当の制裁金を科す

DOL(米国労働省)下の賃金・時間部署(WHD)は、メリーランド州のプリンス・ジョージ郡公立学校区が 故意にH-1Bプログラムの規定に違反したとの判断を示した。WHDの調査官は、同学校区がH-1B資格の教師に対し本プログラムにおける費用の支払いを要求して賃金カットをしていたことを発見した。DOLは、学校区を含み全ての雇用主は、法律に従い、雇用した全ての教師に賃金の全額を支払う義務があると述べた。DOLは、本件が故意の違反であったとして、420万ドルを超える未払い賃金の支払いと170万ドルを超える民事制裁金を科した。また、WHDは、本学校区が新規の嘆願、H-1Bの延長、「グリーン・カード」の申請を禁止されるべきであることを勧告した。

USCISは、H-1B資格データ収集フォームにおけるTARPについての質問が不要になったことを指摘

 USCISは、雇用主がH-1B資格データ収集フォームのパートAにおける不良資産救済プログラム(Trouble Asset Relief Program(TARP))についての質問事項に回答する必要がなくなったことを発表した。USCISは、TARP基金を受給したH-1B雇用主が米国労働者雇用法(Employ American Workers Act(EAWA))の追加要件の対象となっていたことを指摘した。しかしながら、2011年2月16日にEAWAの追加要件の有効期限が満了となったため、USCISは、そのウエブサイトにおいて、2011年2月17日以降の雇用開始を申請する嘆願者は、EAWAの遵守についての情報を提供する必要がなくなったことを明示した。

DOLは、H2-Bプログラムにおける変更を提案

 DOLは、H2-Bプログラムを「改定する」ための規則案を発表した。本規則案は、H2-Bプログラムに基づいて募集される外国人季節労働者と同等の保護と福利厚生を米国の労働者に保証するとともに、雇用主が合法的な労働力のニーズをより容易に満たせるように、数ヶ所に亘りプログラムの変更を提案したものである。

 DOLは、本規則案は、雇用主のためにプログラムを「合理化」し「改良」するために、雇用主が一時的労働許可証明書を申請する前に、季節労働者を雇用すべき時期が近づいてきてから求人広告を行えるよう、H2-Bの登録手続を変更するものであると述べた。また、この変更により、職業斡旋業者は、H2-Bプログラムを利用できなくなる。

その他、本規則案には、以下の方法で「米国人労働者に対する雇用機会の改良と保護の強化」を行うことが盛り込まれている。

1)米国人労働者にH2-B外国人対象の職務への登録を可能にする

2)雇用主が米国人労働者を募集するために適切な手段をとったという証拠書類の提出を義務付ける

3)外国の求人募集代理店の利用に関する代理店契約書を提出することを雇用主に義務付けることで透明度を高める

4)地元の労働市場の条件と求人募集方法についての専門知識を連邦労働省に提供する州政府労働機関の役割を復活させる

5)米国人労働者の募集期間を延長する

 さらに、本規則案には、DOL下のWHD(賃金時間部署)に、H2-Bプログラムに違反した雇用主にプログラムの利用を禁止する権限を付与することも含まれている。

USCISは、VIBEのベータ・テストを継続

 2011年2月1日付けの当事務所のビジネス移民法ニュースに掲載したように、USCISは、企業確認(Validation Instrument for Business Enterprises、以下「VIBE」という)プログラムのベータ・テストを現在行っている。USCISは、雇用に基づくグリーン・カード嘆願および非移民就労ビザ嘆願を裁定する際、VIBEプログラムを運用することにより、Dun & Bradstreetのデータ・ベースにアクセスして会社情報を取得できるようになる。Dun & Bradstreetのシステムの情報が不正確もしくは不十分で、会社の存在が確認できない場合、USCISは、裏付の要請 (Request for Evidence、以下「RFE」という)を発行するが、そのRFE の雛形(「VIBE RFE」)が開発された。当事務所は最近、大小様々な企業についてのVIBE RFEを受けている。これらの企業は、Dun & Bradstreetのデータ・ベースに記録された自社情報を更新するように求められている。そのうちのいくつかは、当該データ・ベースの情報が正確である旨Dun & Bradstreetに連絡済みである。ただし、USCISがDun & Bradstreetからどこまで完全で正確な情報を取得しVIBEシステムに投入しているかは不明である。現在までのところ、フォームI-129(非移民就労ビザ嘆願書)に関するベータ・テストは、USCISのバーモント・サービス・センターで行われており、フォームI-140(雇用に基づくグリーン・カードの申請のための嘆願書)に関するベータ・テストは、テキサス・サービス・センターで行われているようである。

在日本国米国大使館・領事館についての最新情報

東京の米国大使館は、日本における緊急事態による影響と対応に追われている。

 2011年3月18日付けで、非移民ビザ申請者は以下のような通達を受けた。

非移民ビザ申請者のうち、すでに3月にビザ面接の予約があり、以下に該当する者は、予定日通りに面接を受けるべきである。

  • Fビザ、Mビザ、およびJビザの申請者で、3月末日までに教育機関に登録しなければならない者
  • Hビザ、Lビザ、およびEビザの申請者

 ビザ面接を予定している観光ビザまたは通過ビザの申請者は、ビザ面接を受けられない可能性があるとの通達を受けている。

 ビザ面接の予約を完了していない全ての申請者は、4月以降に面接予約をするように勧告されている。

外国人従業員は、電子確認制度を通して労働許可の自己確認が可能となる

 連邦政府は、 電子確認制度(E-Verify)による自己確認プログラムを発足する。これにより、外国人従業員は、各自の就労の可否をE-Verify、USCISのウエブサイト、および国土安全保障省のウエブサイトで確認できるようになる。本制度は、2011年3月21日月曜日から、アリゾナ州、コロラド州、コロンビア特別区、アイダホ州、ミシシッピー州およびバージニア州で発足する。自己確認プログラムでは、まず利用者の身元確認のために公知ならびに非公知の個人識別情報を確認した後で、その利用者の米国での合法的な労働許可に矛盾がないか否かが確認される。

 自己確認プログラムの目的は、各個人が政府のデータベースに保存された自己の情報にアクセスし易くすることで、透明度を高めようとするものである。しかしながら、就労許可の確認は各自の自発的な意志に任されており、不一致が発見された場合は、各自が自主的に地元の社会保障事務所またはUSCISの地方事務所に出向いてその不一致を解決しなくてはならない。また、このシステムの身元保証手続で使用される情報は、民間の信用調査機関で保管されている情報であるため、米国に相当期間滞在している者にしか有効でない。米国に来て間もない外国人は、身元保証手続に必要な身元情報が不十分な可能性がある。

 本プログラムの進捗状況については、引き続き当事務所の最新移民法ニュースに掲載する。

 

本記事及びその他の移民法について質問のある方は、エルドン・角田弁護士までご連絡ください。

Eメール:ekakuda@masudafunai.com (日本語可)

  また、当事務所のサービス、弁護士の説明などについて、ご質問・コメント等ございましたら、クライアント・サービス部門の江口 香、または徳吉 史子 (Tel: 312.245.7500)までご連絡ください。