移民法アラート:非移民ビザ嘆願書(フォームI-129)における雇用主の輸出管理法準拠についての新証明義務

Date: 2/10/2011
 非移民ビザ嘆願書(フォームI-129)における雇用主の輸出管理法準拠についての新証明義務

輸出管理法(Export Control Laws)は、海外にどのような商品や技術を輸出できるか、また米国に滞在する外国人にどのような技術データを送信できるか等を規定した連邦規則である。輸出管理法が制定されたのはしばらく前のことであるが、連邦政府は、米国法人に対し、規制対象技術の外国人への開示に関して証明義務を課す等、近年様々な方法で輸出管理法のコンプライアンスを強化しようとしている。

米国に滞在する外国人への規制対象技術および技術データの開示に関する証明義務

  米国市民権移民サービス(USCIS)は、今回初めて、H-1B、 L-1および O-1ビザの嘆願申請を提出する雇用主に対し以下についての証明を義務付ける。

  1. 輸出管理規則(Export Administration Regulation、以下、「EAR」という)および国際武器取引規則(International Traffic in Arms Regulations、以下、「ITAR」という)を検討した旨;および
  2. ビザの支援対象である外国人に規制対象技術および技術データを開示するために輸出管理ライセンスが必要であるか否かを判断した旨。

 雇用主は、ビザの支援対象である外国人に規制対象技術および技術データを開示する前に輸出管理ライセンスを取得する必要がある場合、その外国人に対しての輸出管理ライセンスを事前に取得しない限り、その外国人に規制対象技術を提供しないことを宣誓証明しなければならない。2011年2月20日以降、H-1B、 L-1および O-1ビザの嘆願申請を提出する雇用主は、非移民労働者のための嘆願申請書であるフォームI-129(以下「フォームI-129」という)に署名する前に、適用される規則に必ず準拠していることを確認しなければならない。

規制対象技術または技術データの外国人への開示についての米国輸出管理規則

 EARおよびITARは、企業または個人が、規制対象技術または技術データを米国に滞在する外国人に開示する場合においても、事前に米国政府から認可を取得することを義務付けている。EARおよびITARによれば、米国に滞在する外国人を含む世界各地に所在する外国人に、規制対象技術または技術データを開示することは、たとえ雇用主であっても、その国またはその外国人の国籍のある国への輸出とみなされる。この規則が示唆していることの一つは、米国の企業が、USCISの新たな証明義務が適用されるH-1B、L-1、またはO-1資格で雇用した非移民労働者などの外国籍の従業員に、規制対象技術や技術データを開示する場合は、その前に、米国政府からライセンスを取得しなければならない可能性があるということである。

米国輸出管理規則の準拠を証明する義務

 USICSは、各雇用主に対し、EARおよびITARの検討、および規制対象技術または技術データをビザ取得者本人に開示するために米国政府の輸出ライセンスが必要か否かを判断したことを証明する義務を課している。EARおよびITARに関する情報は、それぞれhttp://www.gpo.gov/bis/ear/ear_data.html およびhttp://www.pmddtc.state.gov/regulations_laws/itar_official.htmlに掲載されている。輸出ライセンスが必要な場合、企業またはその他の事業体は、規制対象技術または技術データをビザ取得者本人に開示・提供するのに必要な認可を米国政府から取得するまでは、その技術または技術データを開示・提供しないことを証明しなければならない。この証明義務は、USICSのフォームI-129に以下のような表現で記載されている。

嘆願者がビザ取得者本人に開示・提供する当該技術または技術データに関して、嘆願者は、輸出管理規則(EAR)および国際武器取引規則(ITAR)を検討し、以下のように判断したことを証明する。

  1. かかる技術または技術データを当該外国人に開示するために米国商務省または米国国務省からライセンスを取得する必要はない、または、
  2. かかる技術または技術データを当該ビザ取得者本人に開示するために米国商務省および/または米国国務省からライセンスを取得する必要があり、当該嘆願者は、かかる技術または技術データを当該ビザ取得者本人に開示するために必要なライセンスまたはその他の認可を取得するまでは、当該ビザ取得者本人にそれを提供しない。

 嘆願者は、フォームI-129の5ページのパート6に記載される上述のどちらかにチェックマークを付けなければならない。フォームI-129を提出する雇用主は、適切な証明ができるように、EARおよびITARを検討するにあたり合理的努力をすべきある。フォームI-129に署名することにより、雇用主は、偽証罪の罰則が適用されることを理解した上でそのフォームに提供された情報が真実偽りのないことを証明することとなる。その結果、そのフォームに誤りががあれば虚偽とみなされる可能性があり、それは連邦法に違反することになる。また、その虚偽が嘆願の承認後に判明した場合であっても、最悪の場合その嘆願が却下または取消される可能性がある。

規制対象技術または技術データ

 ほとんどの技術が外国人への輸出または開示の規制対象にはならないため、上述したライセンスの取得義務はごく少数の嘆願者にしか影響を及ぼさないであろう。また、特定の技術が規制対象であっても、特定の国への技術の輸出または開示は、ライセンスを必要としない場合があり、ライセンス免除が適用されライセンスを申請する必要がない場合もある。外国企業の子会社である米国企業、または外国の子会社または関連会社を有する米国企業は、技術または技術データの出所が海外の親会社、子会社、または関連会社である場合でも、その技術または技術データが一旦米国内に入れば、その技術や技術データはEARまたはITARの規制対象となるということに注意すべきである。

 外国人への開示の規制対象となる技術また技術データは、EARの通商管理リスト(Commerce Control List、以下「 CCL」という)およびITARの米国軍需品リスト(U.S.Munitions List、以下「USML」という)に挙げられている。詳細は、http://www.access.gpo.gov/bis/ear/ear_data.html#ccl またはhttp://www.pmddtc.state.gov/regulations_laws/itar.html を参照。CCL に挙げられたEARの規制対象技術は、一般に軍事・民間の両方に利用可能なものとして知られる物品の製造、開発または使用のための情報に関係し、USMLに挙げられたITARの規制対象技術データは、防衛物資に直接関わる情報に関係する。

 米国商務省の産業安全保障局(Bureau of Industry and Security、以下「BIS」という)は、CCLを管理し、EARに基づき規制対象技術を外国人に開示するためのライセンスを発給している。米国国務省国防機器取引管理部(Directorate of Defense Trade Controls、以下「DDTC」という)は、USMLを管理し、ITARに基づき規制対象技術を外国人に開示するためのライセンスの発給を行っている。EARについての情報およびBISへのライセンスの申請方法は、www.bis.doc.gov に掲載されている。また、規制対象技術の外国人への開示に関するEARの規定についての詳細は、www.bis.doc.gov/deemedexports に掲載されている。USMLにおいて定義されている防衛物資、軍需サービスの、またはそれらに関連する技術データを保有している製造会社、輸出業者および仲介業者は、DDTCにライセンスを申請する前にDDTCに登録しなければならない。ITARについての情報およびDDTCへのライセンスの申請方法は、www.pmdtc.gov に掲載されている。また、規制対象技術データの開示に関するITARの規定についての詳細は、http://www.pmddtc.state.gov/faqs/license_foreignpersons.html に掲載されている。

 会社の技術が上記政府機関のどちらの管轄であるか不明確である場合、DDTCに商品管轄権(Commodity Jurisdiction、以下「DJ」という)の確認要求を提出すると、DDTCは、御社の技術の輸出ライセンスを管轄するのがBISであるか DDTCであるかを確定してくれる。また、BISは、CCLに列挙されている品目のどれに当てはまるか判断をし、技術や技術データが規制対象であるか否かを判断できるようにサポートを行っている。

雇用主への提案

 米国輸出管理規則の検討と解釈は、非常に時間がかかり、複雑かつ理解をすることが難しい。雇用主は、弁護士またはこれらの規則を熟知した経験のあるコンサルタントからアドバイスを得ることをお勧めする。

 会社に適切な輸出管理のコンプライアンス・プログラムがない場合、雇用主は、所有する規制技術や技術データの確認、維持および保護に関わる明文化されたポリシーを作成すべきである。さらに、雇用主は、将来USCISに非移民ビザの嘆願を提出する際、効率よくかつ正確に証明義務が果たせるように、輸出管理全般のコンプライアンス・ポリシーを作成すべきである。

 増田・舟井法律事務所は、本分野に経験のある弁護士を有し、連邦輸出管理規則に準拠するための社内プログラムの作成をお手伝いいたします。

 USCISの新フォームI-129(非移民労働者ビザ嘆願書)における証明義務に関してご質問のある方は、当事務所移民法部門の弁護士までお問合せください。

 また、社内コンプライアンス・プログラムもしくはポリシーについてご質問のある方は、下記の弁護士までお問合せください。