月刊 ビジネス移民法ニュース-2009年12月

Date: 12/1/2009
 月刊 ビジネス移民法ニュース(2009年12月)

ICEは、1,000社以上の企業を対象にI-9の監査を開始

ICE(移民関税執行局)は、全米の1,000社以上の企業を対象に、I-9(就労資格確認書)の監査通知を発行した。これは、2009年7月にICEが発行した650通以上のI-9監査通知に追加されるものである。ICEは、今回の監査が、主に国家安全保障と公安に関わる「重要な経済基盤」産業に携わる企業を対象とすることを指摘した。ICEの代表者の一人によれば、「重要な経済基盤」産業に携わる企業とは、少なくとも100,000ドル以上の政府契約を結んでいる農産物加工会社、食品サービス会社、運送会社、発電会社、および軍需産業などである。

新たに発行された通知には、従来のI-9監査に要求されている書類に加えてさらに数多くの書類提出が要求されているように見受けられる。過去のI-9監査では、フォームI-9の原本、給与台帳、連邦および州の賃金税納税申告書などの提出が雇用者に要求されていたが、今回の監査通知では、独立請負業者や、社会保障庁(SSA)からの「不一致」通知、USCIS(米国市民権移民サービス)やDOL(米国労働省)に提出した嘆願書の写し、会社文書およびI-9手続に関わる会社規則についての情報も要求されている。ICEは、企業に対しこれらの情報および証拠書類の提出をICEからの召喚状を受理してから3営業日以内に提供するように要求している。監査の対象となった企業のリストは発表されていないが、いくつかのオンライン新情報源からの報告によれば、テキサス州では少なくとも160社、カリフォルニア州では少なくとも150社、イリノイ州では少なくとも24社がその対象に挙げられているとのことである。

SEVPは、MAVNIプログラム実施についての案内を発表

ICE下のSEVP(学生交換訪問者プログラム)は、MAVNI(国家利益のための軍隊入隊プログラム)の実施について規則案内を発行した。SEVPは、MAVNIプログラムを通して米国軍に入隊する学生のいる学校に対して本案内を提供した。

MAVNIプログラムでは、現在適法に米国に滞在する特定の非米国市民が、軍隊に入隊するのを許可されるだけでなく、適法な永住資格の取得というステップを踏まずに直接米国市民権の申請を行うことも許される。MAVNIプログラムでは、不可欠な技術を有する適法な外国人(例えば、医者、看護士、文化的背景を有する特定の語学堪能者など)が、少なくとも4年間の契約現役語学新兵として、または最低3年間現役(または6年間米国陸軍予備兵)の医療従事者として入隊することが許される。外国人は、入隊直前までの少なくとも2年間、有効な非移民ビザ資格を保持し、かかる2年間米国を90日間以上離れていてはならない。陸軍と海軍は現在MAVNIプログラムに参加している。本プログラムの募集数は1000人、締め切りは2009年12月末となっているが、延長が予測されている。

(本記事についての詳細は、当事務所の英語ウエブサイトをご参照ください。)

USCISは、H-1Bの枠内申請についての最新情報を発表

USCIS(米国市民権移民サービス)は、H-1B枠内申請についての最新情報を発表した。2009年11月27日付けで、H-1B枠での申請数は、約58,900件であることを指摘した。2010年会計年度(2009年10月1日から2010年9月1日まで)におけるH-1Bの発行枠は65,000件である。以前にも指摘したように、米国で大学院以上の学位を取得した外国人を対象とする20,000人の別枠は、上限に達した。2009年11月13日付けの発表から11月27日までの1週間で約2,000件の嘆願が受理されたようである。このペースでいくと、2010年会計年度のH-1B発行枠は、2009年12月末には上限に達する可能性がある。2010年会計年度のH-1B発行制限が上限に達した場合、2011年度会計年度(2010年10月1日開始)におけるH-1Bの嘆願提出が可能になるのは、早くても2010年4月になるであろう。

ICEは、米国の大学に通学する外国人留学生数が過去最高であることを報告

ICE(移民関税執行局)は、米国の大学に通学する外国人留学生数が過去最高であることを報告した。報告によれば、2008年の学年度における過去最高の留学生数623,805人を7%も上回っているとのことである。その内訳は、インドからの留学生が13%、中国が20%、韓国が11%の増加となっている。外国人留学生が最も多い大学の上位5校は、上から順に、カリフォルニア大学、ニューヨーク大学、コロンビア大学、イリノイ大学(シャンペーン・キャンパス)およびパーデュ大学となっている。3年以上前から始まった外国人留学生の増加の原因は、米国の学生ビザ制度の警備と、世界中から最高の頭脳を求人するという伝統保持との釣り合いを目的とした「門戸開放」政策によるものであると指摘されている。

HIVが米国入国却下の根拠から除外される

2009年11月2日、HHS(米国保健・社会福祉省)は、重大な公共衛生上の伝染病リストからHIVを除外する最終規則を発表した。かかる最終規則が発効するのは2010年1月4日である。本規則の発効後は、HIVは米国への入国却下の根拠にはならない。さらに、HIVテストは、適法な永住権者に義務付けられた慣例の身体検査からは除外される。

USCISは、永住権の申請者がHIVという理由だけで永住権を却下される場合、かかる最終規則が実施されるまで一時未決にすべきであるという覚書を発表した。しかしながら、2010年1月4日までは、HIVテストは、永住権手続の一環であるため、HIVの患者は、かかる新規則が発足するまで滞在資格の変更手続を延期したほうがよい。ただし、新規則が発足した後も、申請者は全員(HIVの患者も含めて)、生活保護者になる可能性がないことを証明しなくてはならない。USCISは、申請者本人の健康も含めて、その人物が生活保護者になるか否かを判断するために様々な要素を考慮することが許されている。

USCISは、LCAが未認可のH-1Bの申請を2009年3月まで受理

前回の週刊ビジネス移民法ニュースで、USCIS(米国市民権移民サービス)の行政査察官が、USCISに対し、DOLに労働条件申請書(LCA)を適宜に提出したという裏付があれば、一時的にH-1B嘆願を受理するという従前の方法を復活させること、またDOLが不適切にLCAを却下したことを証明できれば、H-1Bの嘆願提出が遅れても一時的に受諾することを正式に提案したと報告した。これを受けて、USCISは、11月5日から2010年3月4日までの120日間、DOLによるLCAの認可がなくてもH-1Bの嘆願申請を一時的に受け付けることを発表した。ただし、LCAをDOLに提出してから7日以内に嘆願提出を行い、その裏付書類があるものに限る。USCISは、DOLが嘆願者および雇用主宛に送付したLCAの受理に関するEメールによる通知の写しのみを裏付書類として受け付ける。

DOSは、2009年12月号ビザ・ブリテンを発表-雇用に基づく移民ビザ・カテゴリーのほとんどで進展なし

DOS(米国国務省)は、2009年12月号ビザ・ブリテンを発表した。先月号のビザ・ブリテンと同様、雇用に基づく移民ビザ・カテゴリーのほとんどで進展がない。

以下は、2005年10月の後退から現在までの嘆願申請の受付開始可能日の状況を示したものである。

2005年10月

2007年12月

2008年6月

2009年9月

2009年10月

2009年11月

2009年12月

EB-3 世界

03/01/01

09/01/02

03/01/06

U

06/01/02

06/01/02

06/01/02

EB-2 中国

05/01/00

01/01/03

04/01/04

01/08/05

03/22/05

04/01/05

04/01/05

EB-3 中国

05/01/00

10/15/01

03/22/03

U

02/22/02

06/01/02

06/01/02

EB-2 インド

11/01/99

01/01/02

04/01/04

01/08/05

01/22/05

01/22/05

01/22/05

EB-3 インド

01/01/98

05/01/01

11/01/01

U

04/15/01

04/22/01

05/01/01

EB-3 その他

10/01/00

10/01/01

01/01/03

U

C

06/01/01

06/01/01

(本記事についての詳細は、当事務所の英語ウエブサイトをご参照ください。)

DOLは、PERMおよびH-Bプログラムについての統計を発表

DOL(米国労働省)は、2009年6月30日期四半期の統計を発表した。それによると、提出してから6ヶ月以内のPERM申請のうち、現在処理しているのはその17%に過ぎない。これは、提出してから6ヶ月以内のPERM申請のうち、その94%を処理していた2008年6月期の四半期統計と比べ大幅な減少である。この原因は、米国の経済状況の悪化により、米国労働者を保護し、制定法上の信頼性を満たすための活動を増やしたためである。

DOLは、2009年6月30日期四半期において、LCA(労働条件申請書)の99.11%は提出されてから7日以内に処理したことを指摘した。これは、2008年6月30日期の四半期と比べ、0.87%の減少である。このデータは、主に従来のLCAシステムに基づいている。次の四半期報告では、LCAの処理に最近導入されたiCertシステムの問題により大幅な減少が見込まれる。

DOLは、新たなiCertシステムがPERMに導入されるのは2010年7月からであると指摘した。それまでは、雇用主は現在のシステムを使用できる。

USCISの行政査察官は、特定のH-1B嘆願申請のためにLCAを一時的に受諾することを提案

2009年10月23日、USCIS(米国市民権移民サービス)の行政査察官は、H-1Bの嘆願者が、嘆願に必要なLCA(労働条件申請書)の認可をDOL(米国労働省)のiCERTシステムを通して発行してもらうのに困難が生じた場合、そのニーズを一時的に融通するようにUSCISに正式に要請した。USCISの行政査察官は、かかる問題に対し独自の分析を行い、問題を緩和させるための変更を提案している。

H-1Bの嘆願者は、LCAを提出しDOLに認可してもらわなければならない。2009年4月15日から運営を開始したDOL のiCERTシステムを利用する嘆願者や移民法弁護士は、LCAの認可手続が大幅に遅れたり、間違って却下されたりという問題に遭遇している。DOLとUSCISは、2009年4月15日から2009年8月初頭までにiCERTシステムを利用したLCAの申請のうちその7パーセントに問題が発生(41,700件中2,900件を却下)していることを行政査察官に報告した。その結果、行政査察官は、以下の2つの提案を行った。

1. DOLにLCAを適宜に提出したという裏付があれば、USCISは一時的にH-1B嘆願を受理するという従前の方法を復活させる。

2. (LCAが認可されないとH-1Bの嘆願を提出できないことから)DOLが不適切にLCAを却下したことを証明できれば、H-1Bの嘆願提出が遅れたことの弁明になる制度を一時的にUSCISが作る。

行政査察官は、これは、USCISの規則に反するものではなく、以前にも移民局がLCAの手続問題に対処するために同様の便宜を図ったことがあると述べた。

オバマ大統領は、4つの移民法関連プログラムを拡張する法案に署名

2009年10月28日、オバマ大統領は、政府関連プログラムの資金を提供する2010年会計年度国家安全保障省充当金法案(P.L.111-83)に署名し、本法案が発効された。新たに発効された法律により、E-Verify、EB-5、「Conrad 30」、および聖職者以外の宗教団体職員に対するプログラムが2012年9月30日まで拡張される。また、家族や親戚のために永住権を申請した後援者が、かかる永住権の裁定期間中に死亡した場合、その遺族や親戚の永住権の申請手続をUSCISが完了できるように法律が修正された。本法案は、2009年10月15日に下院で307対114の氏名点呼投票で承認され、2009年10月20日に上院で79対19の投票で承認された。

本記事及びその他の移民法について質問のある方は、エルドン・角田弁護士までご連絡ください。

Eメール:ekakuda@masudafunai.com (日本語可)

また、当事務所のサービス、弁護士の説明などについて、ご質問、コメント等ございましたら、クライアント・サービス部門の江口 香、または徳吉 史子 (Tel: 312.245.7500)までご連絡ください。